ファイル3:変革/Trans
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『な? マズイっていったろ?』 オタさんからWIS。 「ええと、ベルさん。どうしてまたそんなことを?」 「ごろーちゃん鈍いなぁ。ってか、なんだか汗だくだけど大丈夫?」 大丈夫じゃない。 「オイオイ! みんなのアイドル、クーナちゃんが士気高揚のために歌って踊ってくれるんだぜ? リブートの狼煙にピッタシカンカン! そう思うだろ!?」 メルさんは興奮しっぱなしだ。この人、渋い形をしてアイドル好きだったのか。 理屈はとてもよくわかる。むしろ、これ以上ないくらいの案だ。 「OK。すごいアイデアだと思うよ! でも、アークスが何なのかっていう再定義を先にしてからクーナに打診をとったほうがいいね」 せめて毒の巡りを遅延させようと試みる。 「んー。今のうちに唾付けるだけ付けとこうよ。確かに曲とかまだ作れないけどさ。プロジェクト・リブートの書類見る限り半年以内にやらないといけないんでしょ? 「おっと! 俺の見たところ、半年じゃ遅いぜ。その前に暴動が起きちまいそうだ」 まただ。こーきさんも言っていたけど、アークス−市民間の暴動が現実味を帯びているらしい。 どうやらクーナに関してはどうにもならない、と諦観する。 『リバー。クーナというのは、龍族改造実験の被検体だな?』 『そうだよ。お前のことを恨んでるぞ』 『しかし、彼女はオリジナルの死を見たのだろう? イベントクロニクルで確認したぞ。もう僕を気にしないと思うが』 『バカ。そんなんだからお前は人の心が分からないんだよ』 『ふむ……仮に僕を恨んでいるとしても僕がここにいるとバレなければ良いだろう』 『それはそうだけどさ』 できるのか? という言葉は飲み込んだ。もはや、やるしかない状況になっている。 「じゃあ、これからどうするんだい? クーナのアポをとる当てはあるの?」 「あるぜ!」 自信たっぷりにメルさんが答えた。
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