音も聞こえず、何も見えない空間。 ただ、身体が何処かへと沈んでいく感覚だけがある。 (ボク……どうなったんだっけ?) なにも……、何も思い出せない。 (もう……いいや。このまま、眠ろう……) そう思った時だった。 強い思念と共に、唇のあたりに暖かい感触が触れる。 (あ……) ――生きて。 ――生きて今度こそ、一緒に……! 熱くて、切ない思念。 止まっていた思考が動き出す。 そして、熱いものが流れ込んでくる。 (あぁ、暖かい……) その感覚に引かれていくように。 ボクは……。