壁に穴を開けてしまった翌日。
一応Kisoviに事情を説明したところ、しばらく大笑いされた後、彼の自室に案内された。
「これは模型なんだけどね…ミミズの落とした素材と木材で出来てる」
彼がそう言ってこんこんっと叩いたのは、部屋の天井に吊り下げられているやたら長いディ・ロレイの模型。
確かに音は木材っぽいけど、でも色といい、大きさといい、形といい…昨夜見た「あれ」とそっくりってのは…。
「偶然じゃない気がするんだよね…」
そういうボクの様子を見て、ふむ、と考え込むKisovi。
「うむー、夜な夜な人を襲うミミズ人形か…。
本物も触手で突き刺すなんて攻撃してこないし…こいつはただの人形だからな〜…。
もしかすると、またSEEDが潜伏して、徐々に侵食されてるのかもね。
GRMがHIVEで怪しい実験やってたとかって話も聞いたことあるし、もともとコロニーだって 奴らの大好きなAフォトン電池大量に積んでるわけだしね」
「こ、怖い事言わないでよ…昨夜は本気で死ぬかと思ったんから〜…」
彼はまたそこでくつくつと笑い、
「まぁでも、G本局がダウンしてるおかげで助かったじゃない?普段ならお咎めなしで済むよう な話じゃないし」
「それは、まぁ、そうなんだけどさ…」
そう、ガーディアンズ基本憲章の中に居住区内での武装を禁じる法令がある(非常時はOKなんだけどね)。
ボクらが使ってるフォトン武器ってのは、実はかなり危険物だったりする。
入隊後に配布される初期武器ですら、何回も打ち込めば相手を分子レベルまで分解できる代物だ。それだけに破った場合の罰則は厳しく、最悪禁固刑になったりする。
今回のボクの場合は正当防衛だけど、証拠が見つからなくて(あの後探したんだけど跡形も無かった)立件しようが無かったので、そういう意味では不幸中の幸い。
各方面に手を回してくれたノラとFhigには、後でお礼しておこう…。
「エミさんがそれだけ慌ててた化け物については、俺も調べてみるよ。
ま、とりあえず壁の修理はよろしく?www」
「はーぃ…」
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