待ち構える目標へ向かって、僕は突進する。
まずは小手調べ。
脚を狙って振るったハルヴァ・テュポーラを、エミーナはクレアダブルスのブレードで辛うじて受け。その威力を殺さぬまま、こちらへの攻撃へとシフトさせる。
(基本に忠実――か)
回転攻撃を利用しての突きが来る。けれど、遅い。
最小の動作で身体を逸らし、避け。更に迫る刃にはテュポーラを軽く当てて軌跡をずらし、間合いを取る。
何度か切り結んでみたが――確かに、実力はある。けれど……つまらないな。
心が高揚するような、そんな気にはならない。寧ろ、イライラとモヤモヤが募るばかりだ。
「ほら、攻めておいでよ。僕を倒してみなよ……!」
「……ッ!」
挑発すると、向こうから来てくれたけれど。
やっぱり、アイツの攻撃が、次の移動位置が"読めて"しまう。
それは同じ種類の獲物を使うファイガンナー同士だからなのか、それとも――。
「どうしたの?もう、終わり?」
アイツは、もう息が上がり始めていた。
これ以上、この戦いを長引かせる意味はない。なにより、つまらない。
さっさと終わらせよう。そう、思った時だった。
「ボクは――ボクはまだ、キミを助けるのを諦めない!!」
目の前のアイツが、そう叫んだのだ。
誰を?僕を?
誰が?お前が?
今更、じゃないか。
今更な事を――そうやって平然と言う事の残酷さが、お前にはわからないのか。
瞬間的に、僕の思考は怒りで染まる。自分でも不思議なほどに。
「まだ言ってるの?偽善なんて、イラナイんだよ!!」
その激情のまま、僕は力任せにテュポーラを振り回して、アイツが持つクレアダブルスを弾き飛ばす。
もう僕の思考をかき乱すな!目の前から消え失せろ!目障りだ!
「さよなら。オリジナル」
絶望に打ちひしがれるアイツの頭へと、僕は刃を振リ降ろす――!