「あぅ〜〜、飲みすぎたぁ…」
「足腰立たなくなるまで飲むなんて…無理しちゃだめでしょ?」
深夜のガーディアンズコロニー。
夜の12時を過ぎ、噴水広場前にはあたしとエミーナ、二人しかいない。
千鳥足な彼女に肩を貸してあげながら、苦笑して言うあたしに、
「んも〜、それを薦めたのはシンクれしょ〜?
それにぃ、あのお酒美味しかったんらもン…♪」
にへ〜っ、と酔っ払い特有の陽気な笑みを浮かべるエミーナ。
…呂律が回ってないとこが可愛いなぁ、もぅ。
ガーディアンズ忘年会と称して、12月に仲間内で集まったパーティであたしは、一つのチャンスを得た。このとおり、エミと二人っきりになれたのだ。
体質的にお酒の強い家系らしいあたしに対して、彼女はあんまりお酒が強くなかったみたいで。
口当たりの良くて美味しいカクテルがあるとお店の人に教えてもらって、薦めてみたんだけど…彼女は数杯飲んだだけで腰砕けになってしまった。
後で聞いたんだけど、これ結構アルコールの度数高かったみたいで…店の人ぐっじょ…もといちょっと反省。
で、宴の後誰が送っていくか、ってことになったのだけど…。
これまた図ったかのように皆酔い潰れてたり都合が悪かったりで、酔い潰した張本人が責任持てってワケで比較的部屋の近いあたしが送ることになった。
この時ばかりは無神論者のあたしでも思わず神様に感謝しちゃったわよ。
「ふみぅ〜…Zzz」
「ふんにゅ〜〜〜っ、も、もうちょいだから寝るの待ったー!?」
エミは19歳、あたしは20歳なんだけど、体格はエミの方が良い。
悲しいかな背も足りないので、寄りかかられると…その、嬉しいんだけどさ?
かなりキッツイんですけどー!(涙
あたし達ニューマンの女性ってのは、基本的に精神力に秀でてる半面、体力が無いってのは有名な話。
そんな中で、エミは精神力に依存するテクニック使い―一般にフォースって言われてる―にはならず、体力勝負な前衛職の戦い方を選んだ。
それだけに筋肉もしっかりついてるし、パッと見ニューマンらしくないというか。
女であるあたしから見ても格好良い身体してるなぁ、ってうらやましく思う。
なぜフォース系をやらないのかと前聞いてみたら、彼女は苦笑して、
(ボクって不器用だからさ、コレしか出来ないんだよね…)
なんて言っていた。
だからこそ、今の彼女がここにいるわけだし。
あたしが今から同じことやろうとしても、多分エミには追いつけない。
だから、あたしは…
「シンク〜?ボクの顔に何か付いてる?」
「わぁっ?!」
いつの間にかあたしの目の前でぱたぱたと手を振っていたエミの顔がどアップになっていた。
「あぅ、じ、見てないわよっ?!」
「じゃぁ、何を見てたの〜?」
トロン、とした目でそんな事を言われて、今度こそあたしは固まった。
…図星だったから。
暴漢から助けてくれた時に見た微笑みが印象的で。ずっと、憧れだった。
憧れが、好きって気持ちに変わるのは、そう長くはかからなくて。
その気持ちは、どんどん膨らんで…
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