Cross Point
4th Night...[ストライク・バック]



 




パルム中央の超高層ビルが立ち並ぶ早朝のオフィス街を、赤色回転灯の明りが赤く染め、鋭いサイレン音が空気を震わせる。ヘルメットのバイザーから見る周囲の風景が、飛ぶように後ろへと流れていく。
本来なら、緊急時以外のパトランプの使用は法令違反だけど……もうこれだけ違反をしでかしてきたのだ、今更細かい事など気にしてもしょうがない。

(無事帰れても、復職は到底無理だろなぁ……)

ローゼノム・シティ方面へ向かうインターチェンジは閉鎖されているが、愛機のアクセルを全開まで捻って強行突破した所で、思わず苦笑が浮かんだ。
ボクの、初めての我がまま。そして多分、これが最期の。

(……)

路面上に転がる落石をスラロームでかわし、 崩落部分は加速して跳び超え、ボクはただひたすら無心にあの子が指定してきた集合地点を目指す。
やがて、前方に見えてきたのは空に向かってそびえ立つ、黒っぽい高層ビル群の残骸。
表面のコーティングが吹き飛び黒っぽく汚れていて、まるで墓標か何かのようだ。

(さぁて、ここからが本番だぞ……)

進める所まで進んでエアバイクを降り、ナノトランサーに仕込んだ荷物を再点検する。
メイン武器はノラに仕上げてもらった、炎属性のWセイバー系、クレアダブルス。サブに長射程ハンドガンのミラと、使い勝手のいい実体剣片手ダガーのツミキリ・オモテ。両方とも麻痺を狙って雷系で設定した。後はナックル系の"見えない豪拳"ブレイブナックル。
生体賦活剤のメイト系、PP回復用の予備弾倉、そのほか諸々……。うん、全部あるね。

(……よしっ)

目標地点まで、あと2q。
足場を確かめながら、ボクは歩を進めた。