:XDay ±0 "オボレルカラダ" 
 
 
Cross Point



 


ふと気がつくと、部屋は暗くなっていて…薄日が差し込んできていた。

「朝…か」

また…夢だったのかなと不安になり、首を巡らすと―。
彼が、傍らに居てくれた。寝てたけれど。
そっか、ボク―。
あの後、ウィルと身体を重ねて。
気を失ったまま、眠ってしまったらしい。

「…夢じゃ、なかったんだね」

身体の中心に残る熱さと、痛みと…若干の疼きも感じ取れて。
それが本当にあった事だと確信させてくれる。

「ありがと、ね…ウィル」

起きあがって、隣で眠るウィルの顔を見つめつつ…ボクは小さく呟いた。
これで、ちゃんと…終わらせられる。きっと…。

「…あ、あれ…?」

手の甲に落ちる、暖かい滴。
その時初めて、ボクは自分が泣いている事に気がついた。

「へ、変…だな」

おかしいな…。
拭っても拭っても…涙、止まらない。
止まら…ない…よぉ。

「ふぇ…っ…ぇ」

目をぎゅっと瞑って、我慢しようとする。
泣いてる顔は…見せられない。見せちゃ、いけない。
未練がましい娘だって、思われたくないから。
眠ってて、助かったなぁ…。
お互いの気持ちが分かっただけで、ボクには十分だもの。
これ以上、何か望んだらバチが当たる。
…でも、今だけは。

「…」

時間よ、どうか今だけは…ゆっくり、ゆっくり流れて。
ウィルの身体に身を寄せて、その首筋に軽く口付ける。

「助けられたの…2回目だね。…ありがとう、ウィル兄」

柄にもない事しているなと、今更ながら赤くなりつつ。
ボクは彼を起こさないようにそっと起きあがって、お風呂へと向かった。