もう一押し。
ボクと、ルシーダの思いは恐らく一緒のはず。
だからボクは…胸を張ってこう言える。
「全責任を持って、私の元で保護観察下に置きます。
何かあった時は…それこそ、相討ちで私が死ぬ事になってでも、あの子を…止めます」
「…いい度胸ね、そうならないとでも?」
「…そうはならないという確信があるから、そう言ってます。
それに四六時中監視が張り付くんです。
私を油断させる為の演技だとしても、逆にやりにくくなるはず…彼女にはリスクはあってもメリットなんて一つも無いはずなんです」
ただ『一緒にいたい』という願い、その一点以外は。
「…もし外れたのなら。
私は所詮、他人を見抜けないそこまでの人間だった、って事です」
言い切ってから苦笑いする。
でも、これがボクの本心。
こちらを睨むような表情で考え込んでいるケイさん。彼女は聡い人だから…わかってくれるはずだ。
「…ったく。
誰も彼も知り合いには甘いんだから…」
ふ、と表情を緩めて、彼女もまた苦笑した。
「まぁ、正直ウチは情報部のやり方には反対なのよ。
目の前の獲物に釣られてちゃ、隠れてる大物をみすみす逃がす事になるわ。
…そもそもやり方がスマートじゃないのよね。
只でさえこの間のメインシャフト落下でガーディアンズへ批判が集中してるってのに、そんな事したら今度こそ信頼はどん底に陥るわよ…。
情報部の上のお歴々は、どうもそこを失念してるようだけど。
それに、言葉は悪いけど、彼女は次の獲物をおびき寄せるには美味しい餌でもあるのよ。
何より腕も立つしね…エミちゃんの同意が得られて良かったわ」
「じゃぁ…」
「狙われていた貴女がそこまで彼女に肩入れできるなら、間違いは無いでしょう。
統合調査部としても、ティル・ベルクラントを調査員として迎え入れる準備を進めておくわ。
表向きは警備部3課4班の隊員として、ね」
そこで、意地の悪い笑みを浮かべるケイさん。
「…略式裁判になるとは言え、弁護の準備に異動届の作成、経緯の整理…やる事山積みよ。
覚悟は、できてるわね?」
「も、もちろん…ですよ」
多少引きつった笑いになってしまったのは…許してもらいたいところだ。
元々ボクはデスクワークとか苦手なんだよね…。
|