| |
ファイル2:複製/コピー









キャンプシップをアークスシップ4番艦アンスールに着艦させる。
着艦シークエンスは全自動で滞りなく行われた。

テレポーターを通してロビーエリアに戻る。
異星に降りたことによる、煩わしいウイルスチェックや洗浄なんて必要ない。
テレポーターを通るときに不要なそれらは転移されないからだ。


『ゼンチ、ここではWISだぞ』

『わかっているさ』

ロビーを歩きながら、再三に渡る注意。
ゼンチのことは秘密にしている。
チーム員でもごく一部にしか伝わっていない。

マグが喋るなんてありえないことだが、それ以上にこいつがルーサーである、というのが問題だった。
どこで恨みを買っているか分かったものじゃない。
少なくとも、六芒均衡に伝えるなんてもってのほかだ。
彼らは、現在のアークスTOP集団でありながら、全員がルーサーに対し個人的な恨みを抱いている。
特に"始末屋"クーナに知られた日にはゼンチどころか僕まで殺されるかもしれない。
彼女は研究者のアキを許したが、ルーサーは許さないだろう。
僕には彼らと友誼を深めた記憶があるが、彼らは僕のことを知らないのである。

だから、僕は出来るだけ六芒均衡とは関わりたくはなかった。


「おーい、ごろーちゃん!」

呼び止められる。オタさんだ。
見れば(仮)の皆がロビーエリアの階段にたむろしている。
普段の(仮)はここを拠点にしているのだ。
階段を拠点にするなんて不良っぽいが、僕らは不良ではない、と思う。
どちらかというと変態の集まりだ。

なお、少し横に立って勤務中のアークスロード管理官アスタルテ女史は、すでに僕らのことを見て見ぬ振りをしている。

「やあ、オタさん。どうしたの?」

『ちょっと聞いてくれよ。なんかまずいことになりそうだぜ?』

オタさんからのWIS。彼の目線はゼンチの方を向いている。
オタさんはゼンチのことを知っている一人だ。

『ゼンチについて何か?』

『いや、そうじゃないけど、そうなんだ!』

どういうことか、と思ったが疑問はすぐに氷解する。
メルさんとベルさんが、たまり場に走ってやってきた。

「リブートについていい案を思いついたぜ!!」

「これ聞いたら皆ビックリするよ!」

集会を待たずに物事が進んでいくこともままあるのが(仮)の特徴だ。
だから、それはいい。

猛烈に嫌な予感がする。
ハイテンションな二人が同時に言った。


「「名付けて、クーナライブをプロデュースしよう大作戦!!」」


>> to be continued


 

 

 

| |