「……っっ野郎ぉぉっっっ!!!!!」
抑えきれず、怒りの雄叫びをあげたウィルを見て驚く一同。
彼がこれほどまでに怒りを表すことはあまり無かったからだ。
「「「ウィル兄?!」」」
「すまん、皆…俺のミスだ。
冷静に聞いてくれ。…後5分で、この建物は自爆する」
「「「?!」」」
「ライデン、あんたの足でどこまで行ける?」
「5分では…この人数では残念ながら無理だ」
ある程度は予測していたのか、ライデンは冷静に答えた。
「そうか…」
「テレパイプは?テレパイプなら、一瞬で…」
「無効化されてるんだ…発動すら出来ない」
「…っ!!」
まともに血の気を失うアヤ。
「…やるしか…ないよね。私が…」
悲壮な決意で立ち上がるアム。
「アム姉!?」
「アム姉…無茶だよ…!」
殆ど泣き出しそうなアヤとシスカ。
急激な精神力の消耗は、下手をすれば死を招くことすらある。
ましてや、そのテクニックの発動方法すら分からないのでは…その可能性は否定できなくなってくる。
「今のアムのLv、経験を総合して考えて、確立はどのくらいだ、ライデン?」
「出来ないとは言わん。
しかし、アム嬢ちゃんの生死は問わないという前提でも…成功する確立は3割にも満たない…。
生存を最優先で考えれば……残念だが、ほぼゼロに近い…」
「クッ…」
死ぬということは生命活動が完全に停止することであり、そうなればいくらムーンアトマイザーや、スケープドールがあったとしても回復することは出来なくなる。
「…八方…塞りか……。
本当に…こんな事に巻き込んでしまって済まないと思ってる…責めてくれても構わない。
だけど…ここは皆の出来ることをして欲しい!
……文句は、地獄で聞くっ!!!!」
「私は…後悔、してないよ。ウィル兄」
涙を流しながら、一生懸命微笑もうとするアム。
「わたしも。皆でなら…きっと…寂しくない!ね、シスカ」
「うん…ケイ先生も言ってたなぁ。
"ハンターズ"になったからには、覚悟を決めろって!」
アヤはデモリションコメット、シスカはヤスミノコフ9000M――それぞれの己の得意武器を引っさげ、決意の表情でウィルを見る。
「…そうだな。
わたしも長く生きた。が、まだまだ遣り残したこともあるし、な。
どうせやるなら最後まで諦めるな、ウィル!!」
ライデンはいつものように飄々と、雄々しく。
「分かってるさ。さぁ、皆最後の戦いだ!!!
待たせたなエミーナ、今ここで決着をつけてやる!」
再びあの不敵な笑みを見せて、ウィルはドラゴンスレイヤーの切っ先をエミーナへと向ける。
自らの手で、皆の希望を切り開くために――!
「フフ…皆ソの気になっテくレたンだネ…嬉しイよ…。
楽しモう?…最期ノ…時まデ…」
爆発まで、残り4分――!!
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