| |





「…おはようございます。戦闘行動を。」

無機質な笑みを浮べたまま、ガレスとシンクを見つめ話し出す彼女。

「はい?!」
「私は独立型戦闘支援ユニッ(ブツッ)」

無言のまま、ガレスが電源ケーブルを引き抜く。そのまま、ゆっくりとシンクの方を振り向く。

「・・・新手の冗談かい?」

口調こそやわらかいが、目が全然笑っていないガレスを見て、思わずあとずさるシンク。

「いや…その〜あはははは」
「よりにもよって、一番版権がうるさい所の最新のネタをダウンロードしてくるんかい?!
 やり直し!」
「ふみ〜んっ(涙」



「これなら大丈夫・・・のはずなんだけど・・・」
「とにかく起動してみ」
「ほいほい、っと!」
「…起動完了…君が僕を作ってくれた人?」

シンクを見つめ、にっこりと人懐っこい笑顔で微笑む彼女。

「今度はまともに起動した感じだが…?」
「あれ、あたしこの子の一人称「僕」になんてしてたっけ…?」

言って、シンクは手元のコンソールに視線を落とす。

…作成元:Section No.9
…所 属:ホワイティル自治区・内務省所属・・・

そこまで読んで、青くした顔を見合わせる二人。

「ね、念のために聞くけど、あなたのお名前は…?」
「僕?僕、タチコ○」
「わ〜〜〜〜〜〜〜!!!あそこは版権とかうるさいんだから〜〜〜〜〜〜!!」
「ったく、訴えられたらどうするんだよ…。
 いや、最悪の場合、ホンマモン派遣されて逮捕されかねんわ!!

冷や汗だらだらのガレスに、シンクは慌てて「彼女」の電源を落としてハードウェアシステム再チェック中。

「なーんでネット上からOS起動すっかなぁ…?内部にOS持ってるのに…メモリ壊れたかなァ…?」



「こ、今度こそだいじょうぶだから、ね?」
「問題ないことを願ってるよ」
「あ、もぅ!信用してないなぁ!!」

少々ヤケクソ気味にメインスイッチをオンにするシンク。

「…私は電脳の世界に生まれた一個の生(ぶつっ)」
「うどぉわひぃぃぃ!!!もっとやばいじゃないのよ!!
 なんでんな危険なネットワークテロリストの人格なんて拾ってくるんだか…」

いきなり渋い声で語り出した彼女に。
ぜぃぜぃ荒い息を吐きながら周辺機器のコンセントを引っこ抜いたシンクがへたり込む。
それを見たガレスは、能面のような表情で何事も無かった様に荷物をまとめだすと席を立った。

「ふに、ガレス君?!」
「…やめるぞ、こいつを俺は絶対に買わん!!」
「ふにゃぁぁぁ、そな殺生なぁぁぁ〜〜ガレス様〜!」
「え〜い、放せ!!これなら、おんなじ金で駆け出しハンターズを雇って引越しの手伝いをさせたほうがましだ〜!」

泣きつくシンクを振り払うようにガレスが怒鳴った。

 



 
 

 
| |