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同時に、マグ:ベレイも格納状態で再起動を開始する。
あの扉に触れた時、ベレイは宿主の危険を察知して、シミュラクラム:身代わり装置としての機能を発揮した。
そんな機能は普段の任務では使われていないが、宿主が精神的に危険を感じた時にさりげなく使用されている。
マグとは癒しのペットでもあるからだ。
だが、扉に仕掛けられていたのは大容量の精神体である。
愛らしい機械生命体の本来の精神はすでに駆逐され、いまや中身を乗っ取られていた。
精神体は本来罠として扉に組み込まれたものではない。
むしろ、精神体にとってもこんな事態になるとは予想外だった。彼は単に自由を欲していたに過ぎない。
自分が閉じ込められた施設内で何かが起こったことを気が付き、一番その状況を詳細に知ることができる位置にゴーストを移動したらそこが扉だったのだ。
まさか扉に触れたアークスに憑りつけるとは思わなかったが、やってみたら出来そうになり、歓喜したところで矮小な機械生命体にかばわれたのである。
詰めがどこまでも甘いという点で、彼もオリジナルとそう変わらない[敗者]だった。
(ククク……あんな水槽弄りにはもう飽き飽きだ! まっていろよオリジナル! 手短なアークスを乗っ取って僕をバックアップにしたことを後悔させてやる!)
バックアップをとったのもルーサー自身なのだが、ルーサーのバックアップである彼もまた身勝手極まりない精神体である。
しかし、彼はオリジナルの自身がダークファルスにまで身を堕としていることを、未だ知らなかった。
>> to be continued
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