Cross Point



 

「…!!!っ」

…自分の声で目が覚めた。
どうやらお風呂の中で、いつの間にか眠りこけていたみたいだ…。
お風呂の中に入っていたはずなのに身体の芯は冷水に浸かっていたように冷え、震えが止まらなかった。
荒い息を必死に抑えて、恐る恐る、さっき貫かれた右胸にそっと触れてみる。

「…ん…ぅ…」

…なんとも無い。
鏡に写してみても、見慣れたボクの身体だ。

「…はぅ…良かった…」

思わず自分の身体をギュッと抱きしめて、安堵のため息。
だけど…
また聞こえたんだ、あの音が。

カリカリカリ…ペキキッ…

「っ!!」 

あの特徴ある足が見えたところで一気にお風呂場を出る。
部屋の中がびしょ濡れになるけど、背に腹は代えられない!
今度こそ、キッチリ片つけてやる!
「ご、ご主人、どうかし…ブフォッ!?(噴オイル」
「に゛ゃっ?!エミ姉その格好っ?!」

Fhigが幸せそうな顔で鼻からオイル流しつつ倒れていくのが視界の隅に見えたけど、それを考える暇も無い。
装備の相談に乗ってもらおうと寝る前に寄ってもらったノラが、丁度来てくれていたようだ。

「ノラいい所に!武器今もってるっ?! 」
「ふえっ?!と、とりあえず槍とか有るよ?」
「ちと貸してっ!!」
「あわわ、エミ姉そんなカッコじゃ風邪ひくよ〜!それに居住区で武器振り回すと…」

ノラが何か言っていたけど耳に入らなかった。
住んでる家までSEEDに侵食されたら、本気で洒落にならないし。
彼女から受け取った槍を走りながら素早く起動、PP残量を確認する。
残量100%、コンディション・グリーン―流石ノラ、手入れも万全だ。
フォトン粒子が励起して、槍の先端に付いている実体刃が光に包まれていく。

「せぃあっ!!」

一気に突入し、割れた配管の中にまだ蠢いてるのを確認して、気合一閃!
派手にスパークして、それきり―カサカサ音は聞こえなくなった。
気が緩んだのか、身体が冷えてきたのか、ぶるるっ、と寒気が来て…。

「もう、エミ姉!ちゃんと服着なきゃ駄目だってば〜」
「ふ…ふぇ…ふぇっくちんっ!!」
めきぃっ!

「「あ…」」

持ったままだった槍を一気に押し込んでしまい、槍の先端が隣のKisoviん家に貫通したのはボクとノラの胸のうちに隠しておこう…(汗
そして…

「そのぉ…エミ姉?服…」
「へ…にゃぁああぁぁああぁぁっ?!」

ノラに指摘されて、自分の格好に気が付いた…思わずその場にしゃがみこむ。
お風呂出たままだから…当然なんにも身につけてなかったわけで…。
ううぅ、見られたのがノラとFhigだけでよかったよホント…(ホントは良くないけどさorz
ついでに配管と壁の修繕工事費用で、その月の家計が火の車になったのは言うまでも無く。
ウィルに心配されつつ怒られたのはまた別の話だったり。