1st Chapter. 生を謳歌する者、死を見つめる者
Cross Point








"組織"からの通達後、僕は店の奥に設置されたVR装置で、文字通り朝から晩まで訓練に明け暮れていた。
あらゆる事態を想定して狙撃や、室内戦闘――所謂CQBや、対人格闘――所謂CQCを主にメニューとしてこなしていく。

(……)

今まで僕が所属する"Lunatic"班は、どちらかといえば裏方の――他班の退路確保や破壊工作等の任務が主で、要人暗殺等は殆ど駆り出されなかった。
それだけに、対人の任務に関する確認を行っておきたかった、というのもあるが……何かしていないと、平常心を保てなかったのだ。
何がそうさせるのかが分からず、それが余計に僕の不快感を煽る。
平常心が保てず、それを認識する事で身体に更なる余計な力が入り、動きが悪くなる。その結果――。
僅かな判定のズレから致命傷を与えられず、判定結果は"Fail"――失敗、と出た。

(……っ!


やるせないものを感じたままシステムをリセットし、再度シミュレーションを始める。
……脳裏に、あの笑顔がちらついて離れない。
同じ顔のくせに。
僕はこんなにも血が滲むような生き方をしてきたのに。アイツはそんな事も知らずにのうのうと生きてきたんだろう――目障りだ。

(アイツは……僕がこの手で、消し去る)

そうだ。
迷いなど、一時的なノイズに過ぎないのだから。

迷いを振り払い、身体の動きを研ぎ澄ます。
やがて、全ての攻撃がマーカーの致命的部分にヒットし、終了のブザーが鳴り響いた。




 







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