2nd Chapter. 偽と、真
Cross Point




 




一瞬の間が空く。

(……)

なんだろう、この胸の疼きは。
僕はこういう世界に生きている。機械のように動き、ターゲットを破壊する為にだけ存在する。
自分の意識を押し殺し、部品のように振舞わねばいけなかったし、一方でそうしてきた。
だからこそ、だろうか。
自分の舵取りを自分で決める彼女の生き様に、少し羨ましさを感じたのかもしれない。

(羨ましい、だって?)

……心の中に生まれた思いに、愕然としつつも内心ため息を吐く。

(一瞬の気の迷いだ、そんな不確かなモノなんて……)

僕の葛藤を知ってか知らずか、彼女は苦笑のままで、薬の紙袋を差し出した。

「んん、なんか恥ずかしい事喋っちゃったわね……。
 とりあえず、お薬は1週間分出しとくわ。飲み終わっても頭痛や震えが来るようなら、また来なさい」

えらく安い金額を請求され、思わずクバラ製ではないかと疑ってしまったのだが……。

「そんな顔しなくたって、裏ルートで流れてきた正規の薬だから、安心なさい」

そう言って、また苦笑いされた。

(……)

僕の表情って、そんなに読みとられ易いのだろうか。
これは訓練すべき価値は……あるのだろうな、多分。












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