一瞬の間が空く。
(……)
なんだろう、この胸の疼きは。
僕はこういう世界に生きている。機械のように動き、ターゲットを破壊する為にだけ存在する。
自分の意識を押し殺し、部品のように振舞わねばいけなかったし、一方でそうしてきた。
だからこそ、だろうか。
自分の舵取りを自分で決める彼女の生き様に、少し羨ましさを感じたのかもしれない。
(羨ましい、だって?)
……心の中に生まれた思いに、愕然としつつも内心ため息を吐く。
(一瞬の気の迷いだ、そんな不確かなモノなんて……)
僕の葛藤を知ってか知らずか、彼女は苦笑のままで、薬の紙袋を差し出した。
「んん、なんか恥ずかしい事喋っちゃったわね……。
とりあえず、お薬は1週間分出しとくわ。飲み終わっても頭痛や震えが来るようなら、また来なさい」
えらく安い金額を請求され、思わずクバラ製ではないかと疑ってしまったのだが……。
「そんな顔しなくたって、裏ルートで流れてきた正規の薬だから、安心なさい」
そう言って、また苦笑いされた。
(……)
僕の表情って、そんなに読みとられ易いのだろうか。
これは訓練すべき価値は……あるのだろうな、多分。