「ふぅ……」
"Lunatic"に戻って食材やら酒やらを倉庫へ運び込む事暫し、玄関で物音。
"店長"が帰ってきたようだ。
「遅かったですね。何か問題でも?」
「ん、あぁ、いや……」
暫く咥えた煙草を噛み締めていた"店長"は、吸い殻を灰皿に投げ捨てると、こちらへと向き直った。
「本当に、良いのか?このまま、進んじまって」
「……もう、決めた事ですから」
"店長"が、こちらを心配してくれているのは、本当に有難かった。
僕みたいな人間を気にかけてくれている人が居る。
その事が、どれだけ心強いか。
「後悔、しないな?」
「……」
こくり、と一つ頷く。
「分かった。 ……悪かったな、気ぃ散らすような話してよ。明日は、頼むぜ?」
「……はぃ」
話は終わりだと言わんばかりに、"店長"は僕の肩をポンとたたき、店へと戻っていった。
"店長"の背を じっと見つめたまま……僕は薄暗い倉庫の中で、その場に立ち尽くした。