4th Chapter ツイン・ジーン
Cross Point







(いや。今は……集中しなければ)

余計な考えに時間を割いている暇はない。
雑念を振り払い気持ちを落ち着ける為にも、ナノトランサーを展開して一つ一つの装備を取り出していく。
武装は普段肌身離さず身に着けているビートガン2丁、そして明日のメイン武装になる槍的な使い方に戦斧の攻撃力をプラスした試作槍、"ハルヴァ・テュボーラ" 。
クバラの野心的な試作品故、フォトン出力が多少不安定なのが玉に傷だが、安定しさえすれば攻撃力は僕が得意とするダブルセイバーに大きく勝る。

(最も、先日修理を依頼したナイトウォーカーが今手元に無い以上、選択の余地はないんだが)

ちなみに属性は両方とも無属性。相手が纏うフォトンとの相性が合えば大ダメージを与える事が出来るが、その逆だった場合はダメージが半減してしまう。
大ダメージが狙えなくても、確実に命中させ、ダメージを通す。それがボクのポリシーだ。

(……)

一つ一つ手にしてフォトン充填量を確認し、動作に問題ない事を確認しては再びナノトランサーへと仕舞いこんでいく。
武装以外にも、 メイト系生体賦活剤にフォトンを急速充電する為のフォトンチャージャー、状態異常回復薬etcetc…。
装備一式をこうしてみると、今更ながらに"イルミナス"にGRMが深く関わっているのが見て取れる。上が現場に痕跡を残さぬよう口煩く言うのも今になればよく分かる。僕には、もうすぐ関係なくなる事かもしれないが……。

「……ッ」

ふと、頭の奥で感じる鈍痛。

(今更、後悔をしてるとでも?)

僕の今までの生き方に?
アイツに出会った事に?
アイツに手を掛けようとしている事に?

(アイツは、僕の忌むべき過去だ。消すべき記憶だ!消して何が悪い!?)

そう思えば思う程に。
気づくと、手は止まりうわの空で。

(……なんなんだ、一体……ッ!)

考えれば考える程思考は纏まらず、自分がますます分からなくなる。

(……)

アイツをおびき出すためのメールを送信し終わると。更に鈍痛も軋みも強くなり。
僕は深く、ため息を吐いたのだった。










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