Final Chapter. ソシテ、ボクラガノゾムコト
Cross Point








――ティルとエミーナが出会う、数時間前。

■Owner Side.

(嫌な予感ってなぁ、やっぱ一番望んでないタイミングで来るもんだよナァ……)

俺は放棄された地下リニアライン上をホバーバイクで突っ走っていた。向かう先は――旧ローゼノム・シティ。ティルがあの嬢ちゃんに会いに行った、あの場所だ。

(クソ野郎め……!)

シケモクのフィルターを噛み潰し、今朝起こった事を改めて思う。
ティルを送り出して数分、バーに突如鳴り響いた、似合わぬ武骨な対空警報。
その後は……そらもう酷いもんだった。
所属不明の航空機による一帯の絨毯爆撃。更には搭載機銃でトドメ刺しに来る執念深さ。
当然、店は周辺エリア含めて全滅。
チーム構成員も――俺ですら逃げるのに精いっぱいな程の機敏さと激しさだ。恐らく生き残りは残っていまい。
ここまで徹底して叩いてくるとは、俺の考えは相当甘かったって事だ。
送り出したチーム構成員を、俺の考えた作戦で一人も欠けずに出迎える事が俺の密かな誇りだったってのに。それすら、俺にはもう許されないって事なのか、神様よぉ。

「……ケっ、そもそも神様なんてもんが居たら、とっくに人間なんつー生き物は滅ぼされてるか、戦争そのものが無くなってるかのどっちかだったな。
 今更カカァの言葉思い出しちまうたぁ、俺もヤキが回ったってなもんだぜ……」

恐らく、上の考えはプロジェクトRDHを知った連中の始末。
だが。
俺はともかく、アイツだけは。巻き込まれた、あの娘だけは何としてでも、護る。
今更、都合が良い事言ってるだけかもしれねぇが――それが、養父の勤めって奴だろうよ。

「しかし、タダじゃァ終わらねぇ。
 現場を無視して机上でリアルを動かすって事が、どれだけのリスクを伴うかって事を、教えてやるよ若造共!」








 







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