「……邪魔だぁっ!」
490の無造作に振られた片手剣が……スローモーションのように右肩に食い込み、振り抜かれ。スローモーションのように、その右肩から、血飛沫がぱっと飛び散って。
エミーナは、もんどりうって床へと投げ出される。
すぐに立ち上がろうとするものの、大きな裂傷を受けた身体がショック状態に陥りつつあるのだろう、再び足がもつれて倒れ込んでしまう。
そして、エミーナの右肩が、右腕が、右袖が――赤黒く、染まっていく。
濃い、血の色に。
「もう僕に構うな、エミーナ……。
もうやめろ……やめてくれ……!こんな事、こんな無意味な事……何故、お前は……っ!!」
僕は、人知れず叫んでいた。
もう、僕の為に誰かが傷つくなんて、沢山だ!もう、嫌だ!
頭がイタイ。ガンガンする。
いつもの比ではない、その痛み。
僕は、どこかで――この光景を、見た事がある?
そんなことは無い、ハズだ。エミーナは、僕の――オリジナルのはずで。
「無意味なわけ……ないよ。キミを助ける――それが今の、ボクの意味だもの」
「……くく、ハハハッ!!ここまで私に手間を掛けさせたのは、貴様らが初めてだよ。
美しき姉妹愛って奴に免じて――冥土の土産に、一つ昔話をしてやろう」