Cross Point
3rd Night...[コワレタココロ、オボレルカラダ]



 




「……ぅ、く」

次に目を開くと、やっぱりそこは自宅の、自分の部屋のベッドの上だった。
傍らの台にはコップと水の容器。

(あれは、夢じゃなかったのか……)

二日酔いの症状が出てるのか、現実と夢がごっちゃになって、頭がよく回らない。

(とりあえず……シャワー、浴びよう)

そう思い、ベッドから這い出したところで――。

「……ん、なんだろこれ?」

ベッドに入る前に脱ぎ散らかしたボクの服の中に、小さな汎用メモリディスクが紛れている事に気がついた。最近は3課に出向いていないから、資料用のメモリをポケットに入れっぱなしにしていた、とはちょっと考えにくい。
ざわり、と胸の奥底が波立つ感覚。ボクは無意識にメモリを持って自分の部屋へと向かい。

(……)

無言のまま端末を立ち上げ、メモリを読み込ませた。
胸のざわめきは収まらない。
イヤな予感がする。なのに……読み込む作業を止められなかった。
画面上に現れたフォルダを開く。
まず目に入ったのは、たくさんのファイル。
画像データ。テキストデータ。動画データ。
様々なファイルの集合体らしい。その内の一つのファイルに、ボクの目は釘付けになる。

「遺伝子学の権威、失踪……」

そう銘打たれたファイルを開いた。開いて、しまった。