「……ぅ、く」
次に目を開くと、やっぱりそこは自宅の、自分の部屋のベッドの上だった。
傍らの台にはコップと水の容器。
(あれは、夢じゃなかったのか……)
二日酔いの症状が出てるのか、現実と夢がごっちゃになって、頭がよく回らない。
(とりあえず……シャワー、浴びよう)
そう思い、ベッドから這い出したところで――。
「……ん、なんだろこれ?」
ベッドに入る前に脱ぎ散らかしたボクの服の中に、小さな汎用メモリディスクが紛れている事に気がついた。最近は3課に出向いていないから、資料用のメモリをポケットに入れっぱなしにしていた、とはちょっと考えにくい。
ざわり、と胸の奥底が波立つ感覚。ボクは無意識にメモリを持って自分の部屋へと向かい。
(……)
無言のまま端末を立ち上げ、メモリを読み込ませた。
胸のざわめきは収まらない。
イヤな予感がする。なのに……読み込む作業を止められなかった。
画面上に現れたフォルダを開く。
まず目に入ったのは、たくさんのファイル。
画像データ。テキストデータ。動画データ。
様々なファイルの集合体らしい。その内の一つのファイルに、ボクの目は釘付けになる。
「遺伝子学の権威、失踪……」
そう銘打たれたファイルを開いた。開いて、しまった。
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