Cross Point
3rd Night...[コワレタココロ、オボレルカラダ]



 



「……うぃ……る……」

霞が掛かったような思考の中、誰かの掠れた声がする。熱い手が、彼の右手をボクの中心へと誘う。

「も、我慢……で、きな……」
「……エミは、悪い娘だな。そういう娘には……」

ぐぃ、とボクの右手ごと押しつけられ、感じたことのない熱を下腹部に感じて。

「ぁああ……!!」
「……お仕置きしないと、な?」

ボクがいつも恐る恐る触れるのではなくて。それは、はっきり女を悦ばせる動きで。
ウィルの動きに翻弄され、ボクはすぐに昇り詰める。

「――――――っ!!」

声にならない声を張り上げ、硬直したボクの躰は力を失って、ウィルの胸元に倒れ込む。
聞こえるのは、ボクの荒い呼吸と、彼の心臓の音。
小波みたいに気持ちよさが押し寄せてきて、いつまでたっても降りてこられない。

「ぁッ……はぁ、ふあぁっ……」
「……我慢しなくていいからな?」
「ぇ……あぁんっ?!」

ファニエスの裾から手を入れられて、服がめくれあがる。それだけでも、ボクの躰は敏感に反応を返してしまう。
胸元が露わになって、外気が肌を撫でるのが……気持ちいい。

「えっち……ぃ……」
「……エミもだよ。こんな、濡らして」

彼の右手が、ボクの眼前に示される。
その指は、確かにしっとりと濡れていて。
顔が真っ赤になるのが解る。ボク……そんなに?
恥ずかしく思うと同時に、躰の火照りは酷くなっていく。既に自分では消し止められなくて、収めて欲しくて。

「ね、うぃる……」

快楽に潤んだ視界で、両腕を広げて問いかける。
次は、どこに触れたいの?
何処に、触れさせてくれるの?

「食いしん坊だな、エミは……メインディッシュは、最後に取って置くものだよ?」
「ひゃぅんっ!!」

アム姉やサフランと比べると、ちょっと小振りな胸。
でも……

「エミも、こんなに育ってたんだな?」
「もぅ……ひんっ、それ……イィ、よぅ……あはぁうっ!!」

文句を言おうとして、軽く揉み込まれた刺激に嬌声をあげ、どうでもよくなってしまう。
自分でも呆れてしまうくらい。
そんな思いが巡る一方で、ボクの躰の渇きはどんどん増していって。

「お願い……ボクを一人にしないで、……ずっと、いっしょに、いて」

嗚咽の混じる声で、ボクは哀願する。まるで世界でボクとウィルしか居なくなってしまった気がして。
今まで隠してきた想い、感情……みんなごっちゃになって、頭の中が真っ白になって。

「愛してくれているなら……。
 このまま、ボクを……貫いて。ボクが"ここに居る"証拠を、ボクに刻み付けて……ッ!」

ボクは、いつかの夢の中のように。ウィルに、身も、ココロも。全てを奪われる事を、自ら望んだ。
彼の腕に、ボクの身体を抱きしめる力が増す。
馬鹿野郎と、そう聞こえた。果たしてそれは、ボクと、ウィルと、どちらに向けた言葉だったのか。