「……うぃ……る……」
霞が掛かったような思考の中、誰かの掠れた声がする。熱い手が、彼の右手をボクの中心へと誘う。
「も、我慢……で、きな……」
「……エミは、悪い娘だな。そういう娘には……」
ぐぃ、とボクの右手ごと押しつけられ、感じたことのない熱を下腹部に感じて。
「ぁああ……!!」
「……お仕置きしないと、な?」
ボクがいつも恐る恐る触れるのではなくて。それは、はっきり女を悦ばせる動きで。
ウィルの動きに翻弄され、ボクはすぐに昇り詰める。
「――――――っ!!」
声にならない声を張り上げ、硬直したボクの躰は力を失って、ウィルの胸元に倒れ込む。
聞こえるのは、ボクの荒い呼吸と、彼の心臓の音。
小波みたいに気持ちよさが押し寄せてきて、いつまでたっても降りてこられない。
「ぁッ……はぁ、ふあぁっ……」
「……我慢しなくていいからな?」
「ぇ……あぁんっ?!」
ファニエスの裾から手を入れられて、服がめくれあがる。それだけでも、ボクの躰は敏感に反応を返してしまう。
胸元が露わになって、外気が肌を撫でるのが……気持ちいい。
「えっち……ぃ……」
「……エミもだよ。こんな、濡らして」
彼の右手が、ボクの眼前に示される。
その指は、確かにしっとりと濡れていて。
顔が真っ赤になるのが解る。ボク……そんなに?
恥ずかしく思うと同時に、躰の火照りは酷くなっていく。既に自分では消し止められなくて、収めて欲しくて。
「ね、うぃる……」
快楽に潤んだ視界で、両腕を広げて問いかける。
次は、どこに触れたいの?
何処に、触れさせてくれるの?
「食いしん坊だな、エミは……メインディッシュは、最後に取って置くものだよ?」
「ひゃぅんっ!!」
アム姉やサフランと比べると、ちょっと小振りな胸。
でも……
「エミも、こんなに育ってたんだな?」
「もぅ……ひんっ、それ……イィ、よぅ……あはぁうっ!!」
文句を言おうとして、軽く揉み込まれた刺激に嬌声をあげ、どうでもよくなってしまう。
自分でも呆れてしまうくらい。
そんな思いが巡る一方で、ボクの躰の渇きはどんどん増していって。
「お願い……ボクを一人にしないで、……ずっと、いっしょに、いて」
嗚咽の混じる声で、ボクは哀願する。まるで世界でボクとウィルしか居なくなってしまった気がして。
今まで隠してきた想い、感情……みんなごっちゃになって、頭の中が真っ白になって。
「愛してくれているなら……。
このまま、ボクを……貫いて。ボクが"ここに居る"証拠を、ボクに刻み付けて……ッ!」
ボクは、いつかの夢の中のように。ウィルに、身も、ココロも。全てを奪われる事を、自ら望んだ。
彼の腕に、ボクの身体を抱きしめる力が増す。
馬鹿野郎と、そう聞こえた。果たしてそれは、ボクと、ウィルと、どちらに向けた言葉だったのか。
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