「そいえばさっきの答え、聞いてなかったな」
唐突にウィルは言って、ボクの手を取り、瞳を覗き込んでくる。
穏やかで、優しげな……ボクの、一番好きな表情。
でもボクは、その表情に竦められた様に動けなくなる。
(ぁ……)
ココロに、カラダに、なんともいえない痺れが走る。
とても幸せな気分だけど、さっきとは別の意味で……胸が、苦しい。
せっかく治まっていた胸の鼓動が、凄い勢いで騒ぎ出す。
な、なんでこういうタイミングで……っ!
「ぁ……ぇと」
思考は空回りして、胸はドキドキしっ放しで。
なんだか、気持ちが高ぶって……泣きそうだった。
……思いが通じたと同時に、ボクの初恋は終わりを告げるはずだった。
ほんとは、こんな事、許されるはずも無かった。
でも、彼はそれでいいと言ってくれた。異性として愛してくれると、そう言ってくれたんだ。
そう思うと、ココロとカラダの痺れは、一層酷くなる。
「……ずるいよ、ウィル……こんなタイミングで。そんな事言われたら……!」
「――好きな女に、こういうことするのは不自然かな?」
「ひゃ……っ!?」
手の甲に、そっとキスしてくれた。
その感触に。
最後の抵抗をしていた理性がふっつりと切れ、只でさえまともに働かなくなっていた思考は、その一撃で完全にショートしてしまった。
頭の中、ぽーっとしちゃって……ぼんやりとしてしまう。
後に残ったのは……本能に繋がった、生の感情。
(……もぅ、ダメ)
そう。
もう、いいんだ……我慢しなくたって。
自分の想いに、気持ちに……正直に。
「ボク……ずっと、ウィルと一緒にいたい。
女としてキミを愛したい……愛されたい……!」
叫んで、ウィルの胸元に飛び込んだ。
優しく抱きしめ返してくれたその胸で、ボクはタガが外れたかのように……。
ぼろぼろと涙を零して、何年かぶりに声を挙げて泣いた。
それこそ、胸のつかえが取れたかのように。
ウィル……ボクの、一番、一番大切なひと。
もう、絶対離さないから。
大好き……だいすき、だよ。
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