「緊張、するなぁ」
「ビジフォンでも会話してんだろ?今更何ビビってやがる」
「うん、でも……」
ボクが退院して、2週間。
ようやくルシーダとの直の面会が許されたボクは、当然すぐ会いに行く事にしたのだけど。
「面と向かって、てのはやっぱり緊張しますよ」
「ハン、そんなもんかね」
長身を窮屈そうにバケットシートに収めて、エアカーのハンドルを握りつつ呆れたように鼻を鳴らしたのは、ボクが所属する、我らが機動警備部3課のPBこと、ベルナドット隊長。
一応ボクはまだ謹慎中の身だし、まだルシーダ周辺の警戒態勢が続行されている為の措置だとか言ってたけど、実の所かなり心配してくれてて、今日も付いてきてくれた。
……忙しいはずなのにね、この人。
「そんな、もんですよ」
「……ほぅ、言うようになったじゃねーか。謹慎中にイイ事でもあったか?」
「?!っ」
真っ赤になって思い切りむせこんだボクを見て、隊長は愉快そうに笑った。
「なんだ、図星か?ったく、よーやく、ウィルの奴その気になりやがったか……」
「な、何がでしょう?」
「何でもない。
ま、俺としちゃお前さんが早いとこ復帰してくれねーと困るんでな……無理せず、なるだけ早く戻ってこい」
「……分かってますって、課長」
「課長はよせ、ガラじゃぁねーよ」
彼らしい物言いに苦笑を返して、前を見る。
いつの間にか、病院はすぐ目の前になっていた。
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