「会って欲しい、人がいるんだ」
ようやく落ち着いた頃。
ボクから名残惜しそうに身体を離したルシーダが、ぽつりと呟いた。
「会って欲しい、って……今からだと外出許可は……?」
「……大丈夫。すぐ近くだし、お医者さんの許可も取ってある。
ほんとなら、もっと早く君に紹介したかった人、だよ」
ボクは暫し考えて――
「……うん、分かった」
二つ返事で了承した。
「――エミーナ」
隊長 が小声で言い掛けるけど……振り向いてそれを遮る。
……これは、ルシーダの"リハビリ"に必要な事だとボクは直感していた。邪魔されちゃいけない、って。
「……妹を信用できないなんて、そんなの姉失格ですから」
「しかしな……」
「……ボクが、全責任持ちます」
「ったく……一応、相応の準備だけはさせてくれ。警備隊長としてそこは譲れん」
「心配性ですね、隊長は」
「慎重と言ってくれよ、せめて……それにお前さんは、少々考え無し過ぎだ。そんなんだと命が幾つあっても足りんぞ?」
「……大丈夫です。ルシーダが、いてくれますから」
「へいへい、お熱いこって……ったく、ドエラいタマ捕まえたなウィルよ。苦労するぜ……?」
もう知らん、と肩をすくめた彼にニッと笑い掛けて、ボクは彼女に向き直る。
「場所は、何処なの?」
「近くの、公園墓地だよ」
ルシーダは僅かに微笑んで、ボクにそう告げたのだった。
|