Cross Point
Epilogue...[ハジマリノ、オワリ]



 


「それで、ルシーダはいつ頃まで入院なの?」

墓参りを終えて、公園から帰る道すがら。
目覚めてからは回復も早く順調だとは聞いていたけど、本人の口から直接聞きたくてボクは彼女に問うていた。

「うん……。
 ほぼ大丈夫らしいんだけど、以前使ってた薬品とかの影響もあって……もう暫くは安静にしてろってさ」
「身体、鈍っちゃうよね?」
「そうだね……エミとの勝負も、付いてないし」
「……ッ!」

つい身構えてしまったボクに、あぁ、とルシーダは苦笑いを浮かべる。

「――あのときの、約束。覚えてる?
 改めて、お願いしたい。正式に、僕ともう一度勝負、してほしい」
「……もう、一度?」
「うん……僕が、君としっかり向き合う為に。
 ……僕は、今まで僕自身を表現する事なんて、無かったから。だから……」

言って、こちらをじっと見つめてくるルシーダの紅い瞳。
あの時の、暗い炎を宿したような剣呑なものではなくて、ただ穏やかな光を宿しているのに安心して。

「……どう、かな?」
「ん……」

こちらの様子を伺う彼女を見て、今、一つ解った事がある。
この子も、ボクと同じで……想われる事が不安で、想う事に不器用なんだと。
ルシーダとボクとの共通点をまた一つ見つけられた事が、なんだか嬉しかった。

「どうしたの?」
「うぅん、何でもない。ちょっと、嬉しかっただけだよ」
「……じゃぁ、いいの?」
「うん、やろう。キミがそれで納得できるなら、ボクには付き合う義務があると思うから」
「ありがとう……。それと、もう一つ……お願いがあるんだ」