:XDay ±0 "オボレルカラダ" 
 
 
Cross Point



 


「…あぁ、お前が…俺以外の事を考えられなくしてやる。…覚悟しろよ?」
「ぁ…ぅんっ、あぁんっ!!」

ファニエスを腕に残して、半ば拘束されたような格好のまま、胸元に、鎖骨に、首に…舌で愛撫され、強く吸われ。
ショートパンツの奥、熱く潤んだそこへと直接彼の手が伸び、時に優しく、時に激しく動かされて。
その一つ一つに反応して…さざなみのように押し寄せる快楽の波に浚われて。
何にも考えられず、躰を戦慄かせて、時に小さく痙攣して、ボクはどんどん、堕ちて行く。

「ひゃ…」

ベッドへ座らされて、その勢いでショートパンツも下ろされてしまう。

「…洪水、だな?」
「…くぅ…ん」

言葉どおりだった。
彼の物言いに反論したくて、でも出来なくて。…もっと、もっと欲しくて。
結局、ボクは甘えた鼻声で応えてしまう。
漏らしてしまったかのように濡れているそこを、彼がそっと嘗め取っていく。
丁寧に、丁寧に。

「ゃ…だめぇ…」
「そんな顔してちゃ、そういう風には見えないな」
「ひぃ…ぅんっ」

時々、奥へ探りを入れるかのように割り込んでくる。その感覚が…堪らない。
自由にならない両手をウィルの頭に添えたまま、ガクガクと震えてボクはまた、昇り詰めていく。

「また…イッ…ちゃ…」

言った瞬間、硬くなった所を吸われ、今度は目の前が完全に真っ白になる。

「い、ぁ…――――――っ!!」

躰を限界まで仰け反らせて、ボクは今まで感じたことのない大きな波に飲み込まれていた。
キモチイイ。
呼吸が出来ない。
キモチイイ。
苦しい。
全く逆の感覚が交じり合い、高い、高いところへと意識が吹き飛ばされる。

「ぁ…か…は」
「エミーナ…」

呼ばれ、気がつくと…ボクはなにも身につけないまま、ウィルにもたれかかって余韻に震えていた。
気持ちよすぎて、一瞬気を失ってたみたい。

「…いい、か?」
「ん…」

ベッドに寝転がり、なにもかもさらけ出して、ウィルを待つ。
いつも、いつでも気遣ってくれて。
ずっと、ずぅっと、一緒にいてくれた。
想い合ってもいいとも言ってくれた。
不意に、涙がこぼれる。

「怖いか、エミ?」

涙を拭ってくれる、暖かくて大きな手をそっと両手で握って、ボクは精一杯の笑顔で微笑む。

「…違うよ。嬉しいんだ。
 だから…来てよ、ウィル。
 ボクに…消えない傷をつけて…?お願い」

彼は、一つ頷いて。
熱くて、堅いものが近づき、触れ。
ゆっくりと割入って。
打ち込まれていく。

「くぁ、…ぁっ!?」

熱い。
火傷しそうな熱さと痛みと。
でもそれ以上にー。

「んぎっ…くぅ…ん…っ」

充足感…そう、充足感。
体温が混じりあい、そこから何もかも溶けていきそうな。

「ふぁ…あ゛っ」
「全部、入ったぞ」
「ぇ…ああぁぁっ?!」
「わり…限界だ…ッ」

いきなり動かれて、ボクの意識は飛び飛びになる。
最初は痛みで、それは熱さへと変わり。
やがて―。

「イ、クぞ…エミっ!!」
「うぃる…うぃる…ッ!」

どくんっ!

「!!!っ…ぅ、ぁ……あ」

ウィルの熱いのが、ボクの中で解き放たれて。
熱いものが中で染み、広がっていく感覚に。
自分でする時の何倍もの快楽が押し寄せて、目の前がチカチカして。
やがて、それは下腹部で爆発した。
…文字通り、快楽という爆弾の爆発だった。

「…ぅぁぁああぅあぁっ!!!」

いっしゅんで、あたまのなか、まっしろになって。
ぜんぶ、ふきとんで。なんにも、かんがえられなくなる。
わかるのは、ふたりのカラダのあつさと、ぜんしんでかんじる、とけあっていくこうふくかん。

「…とけ…る…ぅ」
「エミーナ…」
「うぃ…る……」

わたし、いま…しあわせ。
すっごく、しあわせ…だよぉ。

貫かれたまま、熱いウィルの身体に凭れて。
余韻と言うには大きすぎる波に翻弄され続けて。
わずかに残った意識を保つことすらできなくなったボクは…真っ白な世界に飲み込まれていった。