:XDay +30"アルキダシタキモチ" 
 
 
Cross Point








「…エミ」
「なに?」

不意に額に暖かい、でもちょっとカサっとした感触が触れる。
キスされたと気がついたのは、その数瞬後で…。

「……ふえぇっ?!」
「いろんな意味で。無防備だよな、お前ってさ」
「……ぁ、ぇ…」
「ある意味、凶器だぞ?それは…」

いつの間にか止まっていたエアカーが動き出すと同時に、自分の顔が真っ赤になっていくのがわかった。

(不意打ち…ずるい…)

あの時だけ、って積もりだったのに。
そんな事されちゃったら…ボク…。

「自分だけで耐えきれない想いを、誰かに一緒に抱えてもらうってのは…お前が思ってる程悪い事じゃないさ」
「でも…ボクらは…」

ウィルはボクの義兄で、ボクはウィルの義妹で…。

「それでも、さ。
 最初は―壊れそうな、お前を救えるならと思った。
 でも、すぐそんな考えはすぐ吹き飛んじまった。
 俺は…奥底でお前を女として見ていたし、抱きたいと思ってたからな。でも、それだけじゃなかった」
「……」
「天然な所も、優し過ぎる所も、そのくせ内心でずーっと悩んでる所も。
 全部ひっくるめて、エミーナって女が好きだったんだなって、あの時はっきり分かったよ」
「……っ!」

彼の突然の告白に。
ボクの思考は、今度こそ真っ白になったのだった。