:XDay +30"アルキダシタキモチ" 
 
 
Cross Point






(ぁ…れ…)

また、瞬間的に気を失ってたみたいだ。
気づいた時には、力の抜けたふにゃふにゃのボクの身体は、ウィルに抱きしめられていて。
そのままで、低く、優しく、語り掛けられた。

「もっと…キモチヨクしてやる。
 …エミのイク顔、もっと、俺に見せてくれ」

その言葉に、躰がぞくん、と疼く。
モットキモチヨクシテホシイ…モットオボレサセテホシイ…そんな思いがボクの中で渦巻くけれど。
でも…。

「だめ…だよ…ぅ。
 うぃるも、キモチヨクならなきゃ、ダメ…ぇ」

そう、ボクばっかりじゃ、不公平だもん、ね。
ふわふわする身体でソファーから降りて、ウィルの膝元にしゃがみ込んで…服を脱ぎ、上半身を外気に晒す。

(は…気持ち…い)

酔って躰が火照ってたから、これ位で丁度いいや。
胸元の奇妙な開放感を味わうと同時に、興奮も高まって…。
それは理性を侵食し、ボクは…"男"を求める、"女"になっていく。

「ここが、ボクを…はぁ、んっ…
 メチャクチャにして、くれるんだよね…?」

言いつつ、そこにそっと触れる。

「え、エミ…」

恥ずかしいけど…止めようって気にはならなかった。止められ、なかった。
自分が、こんなエッチな娘だとは思ってもみなかったけど…。
こんな気分になるのは…全部、ウィルの…せいなんだから。

「…する、ね」

チャックを下げて、そこへ右手で直接触れる。

(すご…熱い…)
「…くっ」

彼の小さな呻きと一緒に右手から逃げ出そうとした脈打つそれを、両手で包み込む。

(ふふ…逃げちゃ、だめだよ…もぅ)

熱さと、なにより今、この雰囲気に。
メロメロに酔ってしまったボクは、躰にたまった熱さを吐き出すようにため息を吐き。
そのまま、ソフトクリームを嘗めとるように、そっと舌をそこへと這わせてみた。

(舌…火傷、しそ…っ)

柔らかいようで、堅い感触…苦いような、しょっぱいような、変な味だ。

「ん…ちゅ…、ぅん」
「エミ…っ」

まるで魅入られたかの様に、いつの間にかその行為に夢中になっていたボクを、ウィルの声が現実に引き戻す。

「ッ、出す、ぞ…!」
「ぇ…ひゃぅんっ?!」

ボクの顔に、肩に、胸に、降り懸かる彼の精。
そのニオイに、熱さに…ボクは躰を震わせ、呆然となる。
熱さを感じる度に、ニオイを吸い込む度に―
躰の奥ががキューッと熱くなり、トロトロと溶け出して…彼を求め、疼きだす。

「無理、すんなよ…?」
「んは…っ、…ぁふ…びっく…り、…んッ…しひゃ、だ…ひぇ…だよ…ぉ?」

拭ってくれるウィルの指が顔に触れるだけでも、今のボクには十分な刺激で。
知らず、躰がふらふらと反応してしまう。

「ぁ…はぁ、ぅ…」
「俺も、そろそろ我慢の限界…だ」

低い声で、ウィルが言う。
…普段見せない、獲物を狙う鋭い瞳で。

「んはっ?!…ぁ、おぁ…ふ」

急に胸を揉まれ、びっくりしても…驚いたのは一瞬で。
すぐにボクは、深く深くキスされながら、躰をウィルに預けて、喘ぐ事しか出来なくなる。
躰が熱くて。
鋭い視線に、間近で貫かれて。
ボク…ココロも、カラダも。
…全部、ぜんぶ。トロトロに、とけて…く。

「ん…ぁ、手…ぇ、えっちぃ、よぅ」
「エミだって、十分エロいぞ?
 こんなに…エッチな娘だなんて思わなかったよ」

ボクも、彼も。
身も、心も、全てを曝け出して―。

「…キミの、前だけ…。特別、だもん」
「嬉しい事言ってくれるな」
「 …一緒に、キモチヨク、なろ?」
「あぁ。言われずとも、そうするさ」
「ぁ…ふぁあっ!…ひぅっ!!」

熱くて硬い物が、ボクの一番敏感なところに触れて、擦り付けられた。
それだけで、ボクは言葉にならない嬌声を挙げて、電撃のような快楽が体の中を滅茶苦茶に駆け巡る。
体中が敏感になっていて、どこを触られてもキモチイイよぅ…。

「ぁう…ぅんっ!はぁあっ…はぁ」
「入れるぞ?」
「ぅ…あ…はぁぁあぁあっっ!!」

割り込んで、貫かれる。
前と違って、痛みをあまり感じないまま、ボクの奥へ、奥へと熱いモノが打ち込まれ。
その感覚に、ボクは意識が飛びそうになる程感じてしまっていた。

(…ナンデ、コンナニキモチイイノ…?)
「ひ…ぅ…かは…ぁ、あっあっ、あーっ!」
「っく、前より具合良くなってやがる…っ!」

躰全体を揺さぶり、髪を振り乱し、汗を飛び散らせて。
ボクらは、愛し合っていく…。
そして…どの位そうしていたのか。
いつの間にか、ボクはウィルの上に跨る姿勢で抱きしめられていて。

「コレぇっ、イィッ…奥、ぅ、あた…って!!」

こつこつとカラダの奥をノックされて、響いて、何倍にも増幅されて…訳が分かんなくなる。
頭の中、真っ白。
もう何も、考えられないよ…。

「ぼくっ…!飛んでっちゃう…飛んじゃうよぉぉっ!」

ぎゅって、して。
ボクがどこにも行かないように。離れないように。

「俺も、お前もここに居るっ!抱き止めといてやる!
 だから…思い切りイけっ!!」

骨が折れそうな程抱きしめられて。
その直後にマグマのように熱いモノが、ボクの中へ吐き出され、満たされて…。
ボクは、悲鳴とも、嬌声ともつかない声を張り上げた。

「うぁ、ぉあああぁあああっ!!!」

獣じみた声を挙げたのは、ボクだったのか、ウィルだったのか…。
今までにない程の快楽の大波に、全てが吹き散らされる。

「…ッ、ぃ…っ!…ぁ…は……!」

背筋を限界まで反らし、真っ白な世界の中で。
一人の女として、好きな男に、身も心も全てを捧げられた悦びに、ガクガクと躰を打ち震わせながら。
空っぽになったボクの意識は…真っ白なその中に、音もなく沈み込んでいった。