2ndNight
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―都市型コロニー"エルグランド"内、マンション"レ・サン・デ・ポエ"―


―それは小さい頃の夢―

昼寝をしている自分に、自分と似て異なる顔をした少女が笑い掛ける。

『お姉ちゃん。どうしたの?』

屈託のない笑顔で笑う妹の顔が自分の顔を覗き込む。
もう、会わない、いや会えない立場になってしまった自分に無邪気に笑い掛ける妹の顔を見た時、不覚にも涙を流す自分に気が付き、リオネス=ディキアラは目を覚ました。

目を覚ましたリオネスは、まず、自分の状態を把握する事にした。
自分は安物のパイプベッドに寝かされており、ベッドには安物だが快適なシーツと毛布が敷かれていた。着ている服はいつも自分が着ていた黒い合成革のツナギと黒のビスチェではなく、無地のライトグリーンのTシャツとパンツだけで、よく見たら痛みの残る腹部や腕の傷には包帯が巻かれている。部屋自身は4畳程のロフトで、日当たりはよく、外の景色が見える。
ベッドの傍には安物のナイト・テーブルがあり、傍らの椅子には自分が着ていた黒い合成革のツナギが丁寧に畳まれて置かれている。

少なくとも、この部屋は自分の知っている人物の部屋ではなく、ここは住んでいたスラム街とはまったく違う場所である事は判ったが、問題は誰が何故、自分をここに連れてきたのか、という事が一番気がかりである。
リオネスはとりあえず、記憶を遡っていく事にした。



 


 
 
2ndNight
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