「アンマリダァー……」
ピエロ:僕のクローンは、そう言い残してフォトン化した。
クローンを倒したあとにはエクスキューブが残される。
フォトンを立方構造に高圧縮したモノで、高レベルのアークスご用達のドロップだ。
同時に、経験を積んだアークスしか手に入れることが出来ない一種の証でもあった。
ゆっくりとそれを確かめるように僕は拾う。
「ふぅ、おつかれ。ゼンチ」
「このハメ技について今更ツッコミはしないよ。毎回このやり方をするわけでないなら、退屈ではないからね。でも、このあとはどうするんだ?」
「そうだな。ロックベアを狩ったら一旦帰ることにしよう」
ロックベアとは体長4〜5mの巨大な熊だ。
身体の各所が岩状の硬い外皮で覆われている。
森の王者として名高いのだが、アークスには容易に倒せる相手である。
何より、体の動きがとてもわかりやすいのだ。
避けてくれといっているのか、それとも僕らの練習に付き合ってくれているのか、大きく振りかぶって攻撃してくれる。
結果を言えば。
ロックベアには被弾無しで勝利し、無事キャンプシップに僕らは帰還した。
同時に、キャンプシップを通して遥か高空からチェックされていた戦闘データが本部へ転送される。
このデータは今後のアークスの性能向上に使用される。
特に僕の場合はジェットブーツの先行テスターでもあるため入念にチェックされるだろう。
代わりに、本部からはそれらのデータを取りまとめた評定が下される。
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たった一文字で示される評定ではあるが、最高得点を無事取れたようだ。
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