ファイル3:変革/Trans
|
もっとも、昨今では数日も持たずにダーカーに襲われ宇宙のデブリとして漂う運命にある。 「つまり! たとえキャンプシップが故障したとしてもドローンは生きているはずです!」 どやっ、とウインクしながら言う枯葉さんの弁を信じてこの作戦を行ったのが10分前。 「……発見したよ……航路パターンから言って、サフランの船……から出たドローン……で間違いない……」 「でかしたトゥリア!」 「それでサフランは!?」 褒めるチャコさん、食って掛かるエミナさんに、トゥリアが眉を顰めた。彼女がそんな顔をするのも珍しい。エミナさんが慌てて取り繕う。 「ご、ごめんトゥリア……!」 「……違う……落ち着いて、聞いて……幸運なことにドローンから本体の経路が送られてきた……本体……つまりサフランの乗った船は……デブリの直撃を受けて墜落……」 そこまで言った瞬間、エミナさんの顔が真っ青になり膝から落ちた。 「お、おい鯖味噌! 落ち着けって!」 「オイ、トゥリア。まだ続きあるだろ?」 「……うん、ごめんなさい……あたし……こんなんだから……うまく話せなくて……」 「そういうの後でいいのじゃ!? はよう!」 「ええと……サフランの乗った船は……アムドゥスキア火山地帯に突入、不時着成功……してる」 途端に、エミナさんの目に光が戻る。チャコさんもほっと胸をなでおろしていた。 「VTR……見る……?」 「見る!」
無音の宇宙空間。キャンプシップの前面で火花が散る。 「鯖味噌の妹なかなかやるじゃん?」 ドローンから離れていく船を、ドローンはズームアップを繰り返すことで視認を継続している。 「ああっ! 危ない!」 あわや浮遊大陸にぶつかりそうになる場面がいくつもあり、それらの悉くを飛び越え、避け、あるいは潜っていく。 「今のはなんじゃ?」 「ワイヤーフックだ。減速に使ったのだろうが、そんなもので耐えきれるものか」 バランスを崩したまま火山地帯へ。再度、断続的スラスター。しかし、バランス取れず。 「ハラハラしましたね……! あっ、なんかいっぱい来ましたよ!?」 キャンプシップを取り囲む人型龍族。しばらくして、キャンプシップから小柄な人影が出てきた。 VTRが流れる間、エミナさんは一言も発さなかった。 「ま、まぁ、とりあえずVTR見る限りじゃすぐに死にそうじゃないし、場所は分かっただけいいじゃない? 鯖味噌も落ち込んでないで早めに追いかけよ」 「……うん、そうだね。あれだけの大立ち回りして生きてるんだもの。サフランは大丈夫」 言い聞かせるようにしてつぶやいているエミナさん。なんとか、目から光は失われずにすんでいる。 「ってことは、降下か。トゥリア、テレポーターの準備を頼むよ」 「……? そんなもの……ない……。降下するなら……船ごと降りる……」 どうやらチームルームに投下型テレポーターはないらしい。 「領空侵犯とか大丈夫か?」 オタさんが不安そうに呟いた。言われてみれば浮遊大陸を横切るときにトラブルになるかもしれない。 「でも、ここで手をこまねいているわけにもいかないでしょ。降りるよ。トゥリア! 惑星アムドゥスキアに着陸開始!」 「……あい、まむ……どうなってもしらないからね……」 (仮)号は着陸シークエンスへ。
|