ファイル3:変革/Trans
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「【呼び声】という生体器官さ。ダーカーの習性を利用して、咆哮をすると呼び寄せることができる。リバーあそこを見てみろ」 示されたのは(仮)号の斜め前方だ。そこには白い龍がいた。 「ハドレット? いや、別の造龍か!」 ハドレットならば角に金の輪を付けている。なにより、クーナに看取られ死んでいる。 そいつはこちらをジッと見ている。いや、睨んでいる。アークスが憎いらしい。 一歩、二歩、後退し、尾部を持ち上げた。尻尾が反り返りサソリのように見える。 「クラウチングスタートだっ!」 あろうことか、そいつは駆けだした。四本の脚を不恰好にバタつかせて走る。 「うわぁ、なんだアレ。何してんの?」 「なあ、オタさん。俺、あいつ来ると思うぜ」 「いや、無理だって先輩! いくらなんでもここまではこれねーよ!」 「あたしも来ると思うわ……」 「チャコまで!? だって(仮)号は200kmだし、空だって飛んでるじゃん!」 造龍の速度を目測で図る。あれだけの巨体が犬だの猫だののように走っているにも関わらずまるで速度が下がらない。 〔GUUUUUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!〕 だが、造龍はそんな些末なことを気にしない。島が切れた。跳躍。次の小島はないにも関わらず、身を投げうつ。 「正気かあやつ! 死ぬぞ!」 もしも(仮)号と造龍の間に島がもう一個でもあったなら追いつかれていただろう。しかし、そんなもしもは無い。 「嘘だろ……」 召喚した自身と同質量のダーカー:ゼッシュレイダを足場にして再度跳ねた。
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