ファイル3:変革/Trans
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「うん! 間に合った!」 喜色ばんで互いに喜ぶコ・レラとサフラン。 (仮)号を見つけたと同時に、後部ハッチから垂れ下がっている姉を視認できた。姉からは気づかれていないと思う。 だから、サフランはコ・レラに頼んで(仮)号後方へと飛んだのだ。 ミントブルーの髪の男。 「もういちどアタックするよ! できる?」 〔もちろん!〕 コ・レラは両翼を広げ、減速しつつ急速旋回。造龍を正面に見据える。 一方のサフランはすでに手でコ・レラの頭を掴まなくてもバランスを取ることができるようになっていた。 実のところ、サフランが自然にやっているこの動きは普通のアークスでは出来ない。 サフランはフォトン知覚が出来ず、ディスクに身を委ねても上手く体を動かせなかった。
敵、造龍はこちらを憎悪の目で見ている。 〔射程圏内!〕〔攻撃する?〕 「まだ! もう少し引き付けて…………てっ!!」 掛け声とともに一斉に誘導結晶体が発射。総計24発の結晶弾頭が造龍に降りそそぐ。 サフランも負けてはいない。 アイテムパックの分子アセンブラは嘘みたいに好調だ。 サフランは50発以上の矢を撃った。造龍を通り過ぎ、振り返って戦果を確認する。 しかし、その無尽蔵とも思える矢と結晶体の攻撃を受けてなお、造龍は健在だった。 〔GUOOOOOOON!!〕 再度の咆哮。しかし、ダーカーを呼んだ直後にしたことは、ダーカーをけしかけるのではなく、その捕食だった。 「ダーカーを……食べてる?」 〔サフラン!〕〔私尻尾つかまれてる!〕 「へっ?」
「やあ。君がサフランちゃん?」 「ごろー……さんですか?」 「ごろーちゃんでいいよ。さっきはありがとう、助かったよ。と、お礼はこれ位にしておこう。あの造龍はダーカーを捕食して第二形態に変身する。その後は攻撃が激しくなるからね」 見れば、造龍の肉体に黒い翼と鉤爪が構成されていた。腹部が青く発光し、禍々しいフォトンを感じる。 「ごろーちゃん、あいつを倒すにはどうすればいい?」 「まず(仮)号と合流する。さっき連絡があって、無事に着陸できたみたいだ。そこに向かって欲しい」 〔待って!〕〔何か来るよ!〕 造龍の周囲には8つの穴が開いていた。穴は亜空間にでも繋がっているかのように暗い。 「結晶弾だ!」 「レラ!」 〔サフラン〕〔しっかりつかまって!〕〔ついでに緑色も!〕 穴から高速で弾丸が飛来。弾丸といっても大きさはコ・レラの胴ほどもある。 〔GRRRRRR……!〕 造龍はその様を見て、唸り、追走を再開した。
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