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ファイル3:変革/Trans






今、僕の目の前には、造龍の死体がある。

「チャンスだぞ、リバー。これでハドレットの細胞が手に入った」

ゼンチが囁く。そういわれてみればこの死骸はクーナの説得に利用できるのかもしれない。
しかし、気が付けば僕の横にはチャコさんがいて、ゼンチに話しかけていた。

「ゼンチー? あの骸は使わないし使えないよ?」

そういって彼女が示したのは造龍の指先だ。
黒い煙が立ち上っている。ダーカーを倒した時と同じ死に方だ。
これでは遺伝子なんて残らないだろう。

「な、何故……!?」

「ゼンチと言っても知らないことあんのね。ダーカーに模倣されたヤツはああいう風に消えるの」

いや、覚えがあった。以前に僕の模倣体を倒した時もああして消えたのだ。
ゼンチと僕が知らなかったのは、造龍のクローニングを行ったのが虚空機関ではなくダーカーという点である。

「チッ……。仕方あるまい。クーナの説得は他の手段を考える必要があるようだ」

「ああ、それならだいじょぶ。いい人材が見つかったもの」

そういうチャコさんの視線の先には、笑い合う姉妹と一匹の龍がいた。

 



 

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