第二夜...「発端」
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「さてと。陽も暮れてきたし、今日はここいらでキャンプ張ろうか?」
「えっ?こんな所でキャンプ張ってたら襲ってくれって言ってるようなもんじゃない?!」
「しかし夜の探索の方が余計な体力を使う事になりますし……」
「そーそー。ハンターに一番大事なのは無駄な体力を使わないことだぜ、お嬢さん?」
「?!」

いきなり現れた背後の気配と声に、思わず立ちすくむアム。

「よぉ、シーガル。久しぶりだな、元気にやってるか?」

ウィルの声とともに茂みから姿を表したのは、青いハンターの服装に蒼いフォトンで発光した大剣、ギガッシュを下げた青ずくめで、とどめに長めの蒼髪を遙か昔に存在したという剣豪の様にまとめた、蒼い瞳を持つ好青年だった。
その傍らには白色の服装に身を包んだ、髪をおったててバンダナを締めているフォニュームの青年もやって来ている。

「ま、ボチボチってとこか。そっちも相変わらずみたいだな、ウィル兄」
「そー簡単に変わるかって」
「え…と。ウィル兄、その人達は?」

笑い合う2人に、ようやく立ちすくみから開放されたアムが口を挟んだ。

「お、言ってくれるねぇお嬢さん。俺の名前はソーマ・カムイ、銀河一の伊達おとゴっ?!」
「そこいら辺にしとけよ、ソーマ」

ギガッシュの腹でソーマと呼ばれたツンツン頭のフォニュームの青年の頭をドツキつつ、シーガルは溜息をついた。

「い、いいパンチだったぜ……」
「元々パンチじゃねーだろが。しかも頭の真上だし。
 そうじゃなくて、もう少し自己紹介の仕方ってもんがあるだろうってことを俺は言いたかったんだけど……?」
「いや、ナンパの糸口にでもなるかなって」
「ウィル兄じゃあるまいに…」
「なーにか言ったか、シーガル?」
「「いーえ、なんでもありません!」」

ウィルに慌てて首を横に振る二人。
いきなり目の前で始まった即興コントもどきにアムはただただ唖然とするしかない。

「あぁ、悪い悪い。紹介がまだだったな。
 青い方がシーガル、ハンターで俺の弟子みたいなもんだ。
「蒼のシーガル」って聞いたことあるだろ?
 ツンツン頭の方はソーマ。格好から分かるとおりフォニュームだな。
 根は軽いがテクニックの実力はあるからアム、色々教えてもらうといい」
「アム・ハーヅウェルです!よ、よろしくお願いしますっ」
「万事俺に任せておけばすべてオッケイ!」

慌てて頭を下げるアムにソーマの答えはやっぱり軽かった。

「……些か軽すぎるのではありませんか?」

眉をひそめて言ったイー・フリーナの言葉は、果たしてアムの心を代弁したのかどうか……。
当然彼女にしかわかりっこない事であった(笑)。

「ま、キャンプを張る準備も終わったし。夕飯でも囲みつつ話さないか?」

ウィルの一言に、反対するものは誰もいなかった。



 
 

第二夜...「発端」
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