第三夜...「潜入」
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『繰リ返ス。IDかーどヲ掲示セヨ!』


「んなものは……」

言いつつ、シーガルは中腰に構える。
身体の各部に力をため込むように。
そして、一気に!

「始めっからねーんだよっっ!!!」

声を発すると同時にかなり低い姿勢で、身体を前へと押し出す。
流れるようなすくい上げる動作で、半円を描くかのように。
蒼いフォトンの残光を残しながら、大剣――ギガッシュが勢いに乗ったまま相手の身体に吸い込まれていく。

一閃!!

見事に縦真っ二つになり火花を散らしながら床に転がる警備用レイキャスト。
切断面はまるではじめから切れていたかのように滑らかだ。彼がいかにハンターとして有能かが伺える。

『!!』

残ったもう1機が後方の機体に指示を出そうとするが。
彼がその隙を与えるはずがなかった。

「遅いって!!」

笑いさえ浮かべつつ。
彼は返す刀であっさりともう1機を切り伏せた。

「よっしゃ、好調っ!!」

シーガルが雄叫びをあげる傍らで。
イー・フリーナは全力退却機動中のもう1機にぴたりとダークレーザーの標準を合わせる。

「逃がしませんよ〜」

言い方はほえほえだが、狙いは正確に、冷徹に頭部の中心を追う。

「今っ!!」

狙い違わず、警備用レイキャストの頭部の眉間にヒット。
続けて2発、3発とたたき込む。
制御中枢を失った機体は、勢い余って壁に激突し、ようやく停止した。
彼女もまた、歴戦のハンターなのだ。憂いを含んだ顔を上げ、にっこり笑う。

「ふぅ……」
「お疲れさん、イフィ。シーガルも腕あげたな?」
「へっへー、いつまでもあのころの俺じゃねーって!」
「つーことはさっき本気出してなかったなぁ?まぁ、いいけど。
 でも、まだまだ切れが甘いな。65点って所か」
「へっ!ウィル兄からそんな高得点を貰えるとはね」
「あ、あれ?」
「俺達の出番は??」
「んー?あぁ、もう片づいたぞ。…どした、アム、ソーマ?」

いきなりどーんと落ち込んだフォース2人にウィルは苦笑を深くする。

「経験積みたかったら、もー少し周囲を見てからにしような、2人とも?」

ウィルはため息をつき、辺りを見回す。
ただ人を運ぶには異様に大きなエレベータカーゴフロア。トラックが数台横に並んで入ることが出来る幅だ。
事実エレベータカーゴの上には一台トラックが止まったままになっている。
フロア右側を見るとシャッターがある。恐らく本来はここから入場・搬入するのだろう。
するとここはやはり何かの工場なのか。

「ん?これは……」




 
 

第三夜...「潜入」
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