眠っているエミーナを背中に背負ったウィルを中心に、なおも探索を続ける4人。
歩いてきて気が付いたことだが、下に行けば行くほど、通路は荒れ果てていた。
あちこちの壁にヒビが入り、内部配線が露出してしまっている。
所によっては地下水が染み出て水浸しになっていた。
「……さっきまであんなきれいだったのに…?」
アムがふと呟く。
しばらく通路を進むと、大きな部屋に出た。天井が霞むほど高い。
「ふむ、こりゃ大々的に何かやらかした跡だな…。でも…新しいものじゃない。
傷がついてから数年は経ってるかなぁ」
壁の傷を見ながら、ウィル。
「こんな所で何を……?」
「軍事演習とかするわけじゃないだろうしな…」
「うんにゃ、あながち間違いとも言い切れんよ?」
きょろきょろと周囲を見回しながらソーマが言う。
「…たとえば、あいつらの性能確認とかな!」
「「「!!」」」
キュゴゴゴゴゴゴッッ!!
何もない場所で爆発する多数のマイクロミサイル。
同じ場所に留まっていたら、今ごろ肉片すら残らなかったはずだ。
その爆炎の向こうに姿を表した3体の大型機動兵器。
緑色に塗られたその巨躯には、ミサイルポッドがこれでもかというほど搭載されている。
「チィッ、これがイフィが言ってた試作兵器か!」
エミーナを咄嗟にお姫様抱っこにして、バックステップで器用に着地しながら毒づくウィル。
「後から後から…よくもまぁ続くもんだなぁ」
「むぅ、こりゃとんでもない所に入り込んじまったか…?」
シーガルとソーマ、そしてソーマに引っ張り込まれたアムもまた物陰に隠れる。
「そ、ソーマさん…?」
「ん、どしたアムちゃん?」
そのとき初めてソーマは、自分の手が誰のどこを掴んでいるのか把握した。
要するに、アムの胸を鷲掴みにしてたわけで…。
どうやら庇いながら横っ飛びしたときに掴んでしまったようだ。
「こ、この手はなんですかぁぁ?!!」
「…良い揉み心地で・・・じゃなくてっ!こ、今回に限っては事故だぁぁぁっ!!」
「問答無用ッ!」
「ごはぁぁぁっ、君の為なら死ねるぅぅぅっっ!!」
アムの往復ビンタから突き飛ばしへと至る見事な素手モーションで吹き飛ばされるソーマ。
普段の速度より早いところを見るとジェネラル/バトルでも装備しているのだろうか?
ソーマもソーマで吹き飛ばされたついでに前方に炎の壁を作って機動兵器を1機道連れにしていく辺り、彼も只者ではない。
その様子に流石に唖然とするウィルとシーガル。
実は意外とこのフォースコンビ、息が合っているのかもしれない。
「……なんだかなぁ。とりあえず一機片付いたっと!!」
「たはは、いーのかよ…」
「いいんですよっ!…ったくぅ…油断も隙も……」
向こうの壁で目を回しているソーマを尻目に、3人は残る2体の処理に取り掛かった。
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