第五夜...「みんなはひとりのために」
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相変わらず疾走中のシンデンとイー・フリーナは、さまざまな機械が水に満たされた人工の地底湖の両岸を結ぶ橋上でその音を聞いた。 「何かの暗号か?」 思わず足を止め、その「音」を確認する二人。 キシャァァァァァァァァァッッッ!!! 「ぬ、これは……!」 水中から大きく鎌首をもたげ、咆哮する変異獣。 「くっ、一匹くらいならっ……!!」 ダムッダムッ!! 左手でヤスミノコフを連射するイー・フリーナ。 だが、その悲鳴を聞き取ったか一匹、もう一匹とムカデは数を増やしていく。 「ちぃ、多勢に無勢か……」 絶望的な戦力差の中、次々と襲い掛かる触手のようなものを撃ち千切り、切り飛ばし。 ダムッ、ダムッダムッ!! 「えぇいっ!!」 弾切れと見るや、彼女は惜しげもなくヤスミノコフを放り投げ、背中にマウントされていたダークレーザーを左手一本で無理やりハードポイントから引き剥がし、怒涛の如く撃ちまくる。 「最後はあいつだけです!あと5.23秒持たせます、頭を!!」 キシャァァァッァァァァァァァァァァッッッ!!! 「今ッ!!」 絶妙のタイミングで鎌首をもたげた怪物にイーフリーナのフォトンの銃弾とシンデンの渾身の力を込めたスライサーの刃がほぼ同時に相手の頭へと穿たれる。 「やったか?」 砕けたのは外骨格とも言うべきものだったらしい。 「馬鹿な!生体レーザーだとっ!?」 最後の攻撃で本来のフォトン充填タイミングを大幅にキャンセルした結果、酷使が祟り手元にある武器のフォトン残量は半ば尽きかけてしまっていた。
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