第五夜...「みんなはひとりのために」
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『わたしには関係の無いことだ。考えるがままに実験を続けるのが私の使命だ!
 それの何が悪いっ!!!!』

一斉に体の各部所の兵器を展開するオプト。

「コピーを続けたおかげで劣化しちゃったのね。短絡思考はこれだから…。
 いい加減、おやすみなさいな」

その時、床が再び大きく揺れた。
そして部屋の奥からいきなり発現した、吐き気を催すほどの強烈なプレッシャー。

「?!」
「今度はなんだぁ?!」
『むぅ、拘束レベル信号を振り切って覚醒したのか…!?今までの理論値を超えている!!』

ゴオォォッッッ!!

風の音と共に姿を表したのは…翠の髪をもつニューマンの少女。
そして、軽くうつむいたその顔は…

「「エ、エミーナ…?!」」

確かに、風になびく長い翠の髪に隠れたその娘の顔形はエミーナにそっくりだった。
しかし纏う雰囲気は微妙に違う。

『この波動…闇の力……まさか…オリゲルド!?まずい!!』

シーガルがとある事を思い当たった時。
少女の、声が聞こえた。

「…姉さんは…ドコ?」

感情を交えない声。
人形のように、不自然に首をもたげる少女。その蒼い瞳は硝子球のようにどこも見ていない。
そのあまりに違和感のある、おぞましい光景に立ち尽くす3人。

「姉さンは…ドコ?」
『貴様の姉なぞ知らぬ。戻るのだ、ミュー!』
「…………エが…」
『戻らぬなら貴様も廃棄処分にしてやる!!』

圧倒的な破壊力でもってティアナに拳を振り降ろすオプト。

「ってことは、この娘がティアナ…って、やべっ!!」

ソーマが慌てるのも無理は無い。
シーガルですら腕の一振りで吹き飛ばされ、外部プロテクターと人工筋肉で強化されたハンタースーツを着ていなければ危なかったというのに。
彼女は…着ているのは巻頭衣一枚のみ。武器すらない。このままでは捻り潰されてしまう!
しかし――!!

「オマエがぁァぁァぁぁぁぁ!!!!!!」

般若のような、凄まじい怒りの表情をその秀麗な顔に浮かべたティアナは、何も握らぬその拳を思い切りオプトの振り下ろす豪拳へと叩きつけた!

 


 


 
 

第五夜...「みんなはひとりのために」
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