最終夜...「ひとりはみんなのために」
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体が、フワフワする。
朦朧とした意識の中、彼女は瞳を見開いた。
見えたのは血まみれで倒れた自分の体と、周囲に集まる見知った顔。

『あ…そん…な…』

思わず悲鳴が出そうになる。
倒れているのは「エミーナ」だ。では、ここにいる「エミーナ」は…?

(幼き少女よ…今一度問おう。そなたは…死にたいのか?それとも、生きたいのか?)

声が響く。
彼女の真の分身たる、アルディスの声が。

(死の道は、静寂に包まれた道)
(生の道は、辛く苦しい道)
(今のそなたなら、そのどちらでも選択できる。己が正しいと思う道を選ぶがいい…)

『…ボク…は…』

ちらり、と下を見る。
彼女を救おうと必死になっている者達の姿が見えた。

『…ボク…は…』

瞳を閉じて、一息。

『…生きていたい。
 ウィルや…みんなと……一緒に生きていきたい!!』

全身全霊をもって、叫ぶ。
まるで「エミーナ」という存在が、ここに居ると宣言するかのように。

(そう言うと思っていたよ、幼き少女よ)

笑みを含んだ声。

(しばらく、こちらに戻って来るでないぞ?)

『大丈夫だよ…みんなが居る!
 ボクは…一人ぼっちじゃないから!!』

(さぁ、行け!そして己が定めた道、全うして見せよ!!)

 


 
 

最終夜...「ひとりはみんなのために」
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