「…た、助かった…の?」
シスカが、岩陰を出て呆然と周りを見回す。
敵の密集地に突っ込んでは斬りまくっているカラスとラモラク。
右手にインフェルノバズーカ、左手にギルティライトを握りしめて殆ど移動砲台よろしく猛然と撃ちまくるライデンとパルチザンで敵を切り伏せるシンデン、その背に背負われショットでフォトンビームをばら撒くイー・フリーナに引き続き、ケイやソーマ、シーガル達も到着。
押し寄せてきたキャスト達を少数精鋭のハンターズ達が押し返し始めていた。
「恐らく…な…皆が帰ってきたなら…、っ痛つぅ…」
「ウィル兄…!アヤ、レスタを…!」
「うん、応急措置だけど…」
慌てて駆け寄り、ウィルの右わき腹にそっと手を添えてレスタを唱えるアヤ。
「サンキュ、だいぶ楽になったよ。
……やれやれ、格好良いこと言っといて、情けないったらない…」
起き上がって苦笑するウィルに、アヤは首を振る。
「ううん、そんなことない!
…あそこで私たちが逃げてたら…ウィル兄は…。そんなの、絶対嫌だったから!!」
「…ほんとに…無茶しか…しないんだから!!…もぉ!馬鹿兄!!」
「心配させちまって…すまん…」
感極まってウィルに縋り付いたアヤと泣き笑いの顔で怒るシスカに対して、彼は真面目な表情で頭を下げた。
と、そこへ…
「ぬぉっ?!嬢ちゃん、危ないっ!!」
ずしりと重量物がぶつかる衝撃音。
続いて派手な破砕音と共に、数本の木が倒れこんでくる!!
「「きゃぁぁっ?!」」
いきなりの事に、腰が抜けたかのようにその場にへたり込むシスカ。
ウィルを押し倒して自ら壁になろうとするアヤ。
そして、その大木は――
どしゃぁっ!!
彼女達の背後に隠れていたレイキャストタイプ3機へ見事にクリーンヒット。
圧倒的な重量とあまりにも突飛にな攻撃に成す術もなく押し潰された。
「…ふぅ、危ないところだったな」
アヤ達のフォローに入るために言いながら、木陰からライデンが姿を表した。
「アムの嬢ちゃんとエミーナには、シーガル達のチームが向かっている。もう大丈夫だ」
「…ライデン…今の…ワザと……?」
シスカのいつもと違う刺々しい声に、アヤとウィルは大汗を浮かべて苦笑。
しかしライデンはそれに気がつかない。いや、気付かない振りをしているだけなのか?
「うむ、後ろにいた奴らが嬢ちゃんを狙っていたのでな。銃では間に合わなかったのだ」
「…なるほど」
ゆらり、と立ち上がるシスカ。
腰のホルスターからヴァリスタを引き抜き、素早くセイフティ解除。
「…しっ…死ぬかと思ったニャァァァァァ!!!!!」
「ぬぉっ、あた、あた、あた、あた、あた、あた、あたたたたたたっ!!!?」
どうやら本当に押し潰す可能性に気が付かなかったらしい。
怒り頂点のシスカからヴァリスタの充填連射(ハードショット)2セットに、更にご丁寧にも通常連射(ショット)2セットを受けてたたらを踏むライデン…しかしダメージは与えない辺り、シスカの射撃能力は若い割に非常に高いLVにあるようだ。
「なぁにやってんのよ、ライデン!」
その脇でH&S25"ジャスティス"のフォトンカートリッジを3挙動の神業的速さで2丁分交換し終えたケイが、呆れた表情でライデンの背後から敵をしらみつぶしに吹き飛ばしていく。
「皆、いい?これで終わりにするわよ!」
「任せといて!」
「うむ、異論は無い」
「了解した、"鴉の淑女"…戦友の命はわが命!!殺るなら俺から殺れぃ!!!」
「みんなで帰ろう!」
「オッケーだ!!」
「応っ!派手にいこうぜ!!!」
「Okay!
…It's a Rock'n Roll!!(ぶちかませ!!)」
ケイの一言とともに、大反撃が始まった。
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