最終夜...「ひとりはみんなのために」
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居住コロニー"エルグランド"の工業区に位置する小さな工場。 「フレーム限界、考えてたらこんな事にはならないし…一体何をやらかしたんです?」 シンクと呼ばれた、褐色の肌にショートカットの銀髪を持つニューマンの少女は、イー・フリーナの真面目な一言に苦笑した。 「まぁ、いいかぁ…さぁて、発注パーツも届いた事だし!すぐ直しますネ♪」 人懐っこい微笑みを浮かべ、大きく腕まくりをすると猛然と部品の山と格闘し始めるシンク。 「しっかし…こんなに送ってくれたって使うのは一体分だけなのになァ…? 心なしかイー・フリーナの頬が赤くなったような気がするが、シンクは気がつかない振りをしてあげる事にした。
剛雷重工、アンドロイド用修理ハンガー控え室にて。 「兄者、イフィ殿は治るのだろうか…?」 そんな事だったかと、苦笑するライデン。 「…うむ、あれだけ予備パーツを送ったのだ、大丈夫だろう」 あっけらかんとしたシンデンの物言いに、頭が痛くなる思いでライデンは頭を抱えたのだった。
ソーマは自分の仕事場兼家である海洋調査船「ルルコシヌピア」の自室へと、いち早く回復したティアナを連れ帰っていた。 『あんにゃろ、粋な計らいしてくれるじゃねぇか…』 同門の兄弟弟子であるフォーマーの、飄々とした顔を思い浮かべて苦笑したまま部屋のドアを開ける。 「これからは、俺達と一緒に暮らすんだ…嫌かい?」 彼女は黙って首を横に振り――。 「…ここは…落ち着くの。…懐かしい匂いがするから」 ティアナはそっとベッドに横になり、その蒼い瞳を閉じる。 「寝る子は育つ、ってな。 上機嫌で部屋を出て行った。
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