ファイル1:再起動/リブート
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「そういえば、今年も『ナツ』が来たんだね」 「夏といえば海ってマリさんがいってたしねえ」 「夏の風物は海、花火、夏祭り、虫、スイカ、いろいろありますね」 エミナさんの言葉を補足するように当のマリさんが現れる。 マリエール。僕が見たところ、(仮)でもっとも常識的な人間は彼女だ。 「なんで海なんだろう?」 「私たちの先祖は7〜9月に気温、湿度が上昇するところに居住していたんでしょう。公転に対し地軸の傾いている惑星の一地域の文化を引き継いでいるんじゃないかしら」 なるほど、暑苦しいから海に来てさっぱりしようというわけだ。 「もしかして、オラクルがどこの惑星から来たのかそれでわかる?」 いつの間にか来ていたオタさんが質問する。彼は好奇心が人一倍旺盛だ。 「オラクルの暦からして、公転周期が365日、自転が24時間の惑星だと思うけれど、該当する惑星は非常に多いからわからないわね」 「まじかぁ、残念だなぁ」 「人が住めそうな場所って色々あるし」 チャコさんが海の方を眺めながらそう言う。先ほどまで太陽が照り付ける青い空と海だったのが、もう朱に染まっていた。 横を見れば、マリさんが首を傾げていた。 「……ここまで早い日没はありえないはずだけれど……」 「でも、実際に夜になったのじゃ、さぁ花火じゃ花火!」 のじゃ系口調で現れた褐色銀髪の少女、つくね。金色の瞳を輝かせる美少女である。 そんなつくねはどうみても12〜14歳くらいの少女なのだが、アダルトな黒い水着を着こなしている。 もっとも、僕には正直いってつくねの魅力はよく分からない。 「つくねちゃん……! すっごいえろいよ! 向こうでお姉さんと熱いあばんちゅーるしよ?」 燃えるような赤髪をした女性が鼻息を荒くしながらつくねを見ていた。枯葉さんだ。 「おお、よいぞ。ロケット花火の撃ち合いでもするかの?」 いかん、これは危ない。色んな意味で危ない気がする。 「枯葉さん。こんばんわ」 「あ、ごろーちゃんだー!! こんばんわー!」 僕が挨拶をすると、枯葉さんの眼に正気が宿った。 「その水着すごい似合ってるよ。とてもかわいいね」 「!? 私なんてそんな!?」 枯葉さんにかわいいというと、それだけで耳まで真っ赤にしてうろたえ、しどろもどろになった挙句に「うー!!」と叫んで走って行ってしまった。 「のう、リバーよ。枯葉は一体どうしたのじゃ?」 「助けてやったんだよ。お前と彼女を」 「??? まぁよいか! じゃあリバーおぬしが花火を!」 「僕はパスだね。チャコさんが相手してくれるよ」 そう、軽くあしらう。
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