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ファイル1:再起動/リブート




自分のチームが盛り上がっている間、男はショップエリアの工事現場に向かっていた。
出で立ちは黄色い鳥の着ぐるみ、ラッピースーツ。

実は高性能なパワードスーツであるそれにゆったりと身を預けながら、(仮)のチームリーダー、ヨシオは工事現場内に侵入する。
作業機械たちはヨシオのアークスIDを確認すると、その進路を開け、すぐに作業を再開した。

これが(仮)のチムルであれば「おちんちんびろーん!!」と挨拶をするところだが、生憎と今日は任務である。

「ほほーん、こいつが例の筐体か……」

そこには男の着ているラッピースーツによく似た意匠を持つ、真新しい機械があった。

「さて、じゃあどんなもんか遊んでみるかね〜」

「ヨシオさんね?」

背後から声がかかる。若い女の声だ。ヨシオは驚いて振り向いた。
別にやましいことをしているわけではないのだが、こんなところに女性がいるとは思わなかった。

果たしてそこには一組の男女がいた。
男の方はファー付の黒いスーツを着こんだ金髪のデューマン。女から一歩引いた位置で待機している。
女の方は水色の作業衣を着たヒューマン。茶髪をおさげにしてまとめ、大きく開いた胸元からは谷間がのぞいている。

「おーう。いかにもヨシオは俺のことだが?」

「貴方に、いいえ、貴方のチーム(仮)にお願いがあるの」

「人にものを頼むんだったら、自己紹介くらいはするといいと思うぜー?」

当たり前のことだ。自分には相手が何者なのかすら分からない。
そもそも(仮)は自分のチームだが、自分の一存で動くようなチームじゃない。
何かをするなら裏が無いと確信できるまで聞いてから。それをチームに伝えるまでが自分の役目だ。

女はすぐに微笑むと名乗った。ひまわりのような笑顔をする女だ。

「あたしはウルク。アークスを改革するために皆の力を集めているの」

 

 


 
 

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