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あまりに凝り過ぎて映画のようになってしまった部分もある。 時系列順に処理をしていったために、第二章終盤になる頃にはとっぷりと夜になっていた。 その間、幾度もパートナーズがコンソールに現れては倉庫に食材やら結晶やらを仕舞っていく。
愚痴が口をついてでたのは第二章のクライマックス部分だ。 しかしそう悪いばかりでもない。 そうこう考えているうちに、編集部分はルーサーがシオンに振られる場面になっていた。 「ルーサーってストーカーみたいだなぁ……。そりゃ振られても仕方ないな」 ――突然。 ガシャン! という音が響く。驚いて後ろを振り返れば、キャビネットから音が漏れたようだ。 「……気のせいか」 編集を続行する。場面はルーサーがダークファルスに変化する場面になった。 ガシャン! 振り返った。 「風かな?」 風などあるはずもない。ここには扇風機もエアコンもないのだ。キャビネットの中には微動だにしないマグがあるのみだった。 「ま、いいか」 作業を再開する。 『そうだ。真似っこしてあげようよ。増やしてあそぼうよ』 『そうだね。真似っこしてあげよう。増やしてあそぼうか』 ルーサーが増殖し、素手で六芒均衡と渡り合う。 「遺体すら弄ばれるとか……。自業自得とはいえかわいそうな奴だなぁ」 ガシャン! またキャビネット内で音がした。振り返ればそこには中で暴れまわるベレイの姿がある。 「べ、べレイ? お前、生きて――」 「酷い! 酷過ぎる! こんな仕打ちはあんまりだァ!」 僕のベレイがルーサーの声でしゃべっていた。
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