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足元から凍てつくような、あるいは結晶化する感覚と共に、僕は地表に安全に降り立った。 「おかしい。アークスは空中に転移して着地するのではなかったか?」 「それはいつの時代だよ。僕が子供のころのイメージPVはそんなだったけどさ。今はちゃんと高度座標もずれないで転移できるようになったの」 遥か天から落下して、森の中を縦横無尽に駆けまわるアークスのPVに子供の僕は憧れたものだ。 とりあえず、道なりに進む。 そんなことを考えていると、当のウーダン種がやってきた。
レベル64/ウーダン/弱点属性:火 ロゼフロッツ/リヒトが足裏にマウントされ、僕の身体が宙に浮かぶ。 「物は試しだ。フォイエ!」 初等火属性テクニックのフォイエ。チャージ/発動。 喰らったウーダンは炎を物ともせずにこちらに向かってきた。怒らせてしまったようだ。 「ま、ブーツの属性を変えるためだしな。テクニックで倒してもブーツの練習にはならないし」 「でも君、スタンス使い忘れてるぞ」 迂闊。今までやってきた職歴にはスタンスを使うクラスが無かった。慌ててスタンスを使おうとする。 「おい、前を見なよ。もうお猿さん来てる」 ああ、クソ! エレメンタル・スタンスの起動を中止。PA:モーメントゲイル始動。 「とりあえず、ありがとなゼンチ」 「君から礼を言われたのは初めてだが、まるで嬉しくない。さっさとあんな猿倒せよ」 スタンス起動、改めてブーツのPAを確認する。 そのうちの一つを使う。 振り下ろされる右爪をステップで回避する。スッテプアドバンス4レベルが効いているからか当然のように爪は宙を切った。 初めて使うPA。自分の身体がヨーヨーのように回転してウーダンを蹴り上げていく。 ウーダンは一連の攻撃を受けて絶命し、その肉体がフォトン化、僕の構成フォトンの一部となった。 「君、今の動きは悪くないんじゃないか? そんな武装初めて見たよ。興味がわいてきた」 「そりゃ、どーも」 実際、悪くない手ごたえだ。いきなり苦戦したようだが、うっかりミスによるものでダメージは皆無。 獲物を探しに、森の奥へと進んでいく。
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