ファイル3:変革/Trans
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「はぁ……。何やってんだボク……集会サボっちゃったよ……」 サフランを待っていたのか、ゼンチと顔を合わせたくなかったからか、こんな自分を見られたくなかったか。 『サフラン、聞こえる?』 耐えかねてWISを送る。 しかし、流石に遅すぎる気がする。 アムドゥスキアの原住知的生物は龍族である。 そこまで考えて、妹が消え入りそうに思えていた理由が、別の推測に取って代わる。 (まさか、龍族とデキた……? いやいや、ないない! あれ、でもクーナもハドレッドとそういう関係? いやあっちは姉弟か……) 自分の妹はお世辞を抜きにしても可愛い。しかし男っ気はまるでないのだ。だが、龍族なら? などと妙な妄想が混じる。 『さふらーん? サフランー?』 応答なし。WISは恒星間通信をラグなしでやってのける。 『……ザザ……おね……ザ……キャ…シップが…ょ…て……墜落し……』 ノイズ。何故ノイズになるのか。 『ちょっ……!? 嘘でしょ!? まってて! すぐ助けに行くから!』 跳ね起きた。座っていた筐体の椅子が反動で倒れる。エミーナはそれを直すこともせず、一目散にマイルから飛び出した。
いや、エミーナがただ一人走っている。真っ直ぐにゲートへ向かう。 (何でそんなことが起きたの!?)
『すまない。今ゲートは使用できない』 WISではない。オペレーター:ヒルダからの通信。 「どっ……どうして!?」 『……申し訳ないが、その理由は開示できない』 心の底から申し訳なさそうなヒルダの声。 "アークスと市民の間で不和が広がっている" ストライキ? 整備員が不足した? それとも巧妙なテロだろうか。 (考えろ! どうすればサフランを救える!?)
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